学校長挨拶

 

長野県飯田風越高等学校
 校長  下井 一志 (しもい かずし)

 

1 ごあいさつ
 飯田風越高校のホームページをご覧いただきありがとうございます。
飯田風越高等学校は、明治34年創立の下伊那高等女学校、後の県立飯田高等女学校と、大正10年創立の飯田町立職業学校、後の飯田実科高等女学校がそれぞれの変遷を経て、昭和24年に統合し、その後、家政科の設置、男女共学化、家政科の閉科と国際教養科の設置を経て現在に至ります。創立以来「質実勤勉・自由闊達」を校是とし、3万5千人を超える同窓生は、飯田下伊那を中心に地域の経済や教育、福祉、文化事業を支えるとともに、広く国内外で活躍しています。一昨年度に創立120周年を盛大に祝いました。

2 学校の近況
 令和5年度は、新入生206名(普通科166名、国際教養科40名)を迎え、全校生徒601名で新年度をスタートしました。生徒たちは、明るくのびのびと、学業やクラブ活動、生徒会活動にはりきって取り組んでいます。
 昨年度は吹奏楽部が県大会で金賞を受賞し、東海大会に出場しました。その他のクラブも活発に活動しています。放課後や週末に校内外を歩きますと、グランドではソフトボール部やサッカー部、テニス部などのかけごえが聞こえ、体育館ではバレーボール部やバスケットボール部などのボールの音がこだましています。校内では、演劇部、生物、書道、華道、吹奏楽部などが、顧問の先生と和気あいあいと作品づくりに取り組んでいます。礼法室では茶道部が、弓道場では弓道部が活発に活動しています。また個人でも、スノーボード、自転車、ダンスなどの全国大会に出場したり、人命救助で、地域の消防署から表彰される生徒もいます。
 近年は飯田市などの地域の支援もあり、カンボジアの支援活動や飯田駅前むとすプラザの結いスクエア探究イベントなど、生徒主体の活動も活発に行っています。
 本校は、令和2年度から長野県教育委員会の未来の学校モデル校「国際的な教育カリキュラムを研究する学校」に指定され、これまでのいわゆる知識注入型の教育から、課題解決力、他者と共同する力、思考力や判断力、主体的に学びに取り組む姿勢など、これからの予測困難な社会で、力強く生きていくことのできる資質・能力を育成する学びへの転換を図っています。これは、これまで風越高校で受け継がれてきた質実勤勉・自由闊達の伝統に通じるものでもあります。

3 生徒のみなさんに伝えていること
 生徒の皆さんには、高校の3年間で、次の3つのことを期待しています。
 1つは、自分の人生で、人との比較ではなく「自分はこれを大切にして生きていく」と自信を持って言えるものを見つけて欲しいということです。生徒の皆さんは、一人ひとりかけがえのない存在として生まれ、それぞれ異なる環境で成長してきました。同じものを見ても心動かされるものは違うでしょうし、同じ経験をしてもそこから受け取るものも異なります。皆さんには、人との比較でなく、自分の好きや興味関心、良さや得意を見つけてそれを大切に育てていってほしいと思います。それがこれから生きて行く上での自信や活力、困難に直面した時、それを乗り越える力となると思っています。
 2つ目は、想像力と共感する気持ちを大切にしてほしいということです。私たちは、ひとの気持ちを自分のことのように感じることができます。仲間の活躍を自分のことのように喜んだり、遠く離れていても、戦争や災害で苦しんでいる人のことを聞いて心を痛めたり、また、時間を越えて、過去や未来の人の気持ちに思いをはせたりすることができます。私たち人類が、様々な課題を抱えながらも、皆にとって幸せな社会をつくろうと努力しているのも、この想像力と共感のおかげです。身近な人から遠く離れた人たちにまで、思いやりをもって考え、行動できるひとになってほしいと思います。
 3つめは、異質なものへの開かれた心と、偶然の出会いを大切にしてほしいということです。現在、私たちの身の回りにはインターネットやSNSなど膨大な情報があふれています。そして、それらは一人ひとりの閲覧履歴によって取捨選択され、私たちの好みに合ったもののみが届くようになっています。自分の心地よい世界だけに閉じこもるのではなく、時には、自分とは異なる考え方や価値観に触れてみる、人との偶然の出会いを大切にする。そうして新しい世界や新しい自分を発見する。私たちは自分と異質なものに心を閉ざすのではなく、心を開いていたいものです。

4 最後に
 令和4年度の卒業式で、卒業生代表として答辞をした澤柳りなさんは、コロナ禍の3年間を振り返って「目では見えない小さなウイルスとの戦いは、目には見えないひととのつながりの大切さに改めて気づく機会となりました」「当たり前が当たり前ではないことに気づき、様々な制約があっても決してあきらめず光を見出してきた私たちならきっとどんな苦難も乗り越えられると信じています。」と言いました。生徒の皆さんと、この力強いメッセージを共有したいと思っています。
 本校の同窓生は、行政、教育、福祉、文化芸術など地域を支えるばかりでなく、広く県内外、国内、また海外で活躍しています。一昨年は、本校創立120周年を盛大に祝い、同窓生は3万5千人を超えます。風越高校はこれから新たなステージに入りますが、生徒の皆さんとともに、職員一同さらに飯田風越高校が飛躍するように取り組んでいきたいと思っています。

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