■ 【乙武洋匡さん所感】
"乙武洋匡さん"を知らない人は先ずいないだろう。明るくて楽しくて何よりカッコイイ。そんな乙武さんは、「心のバリアフリー」を目指す活動を精力的に展開している。都民文化栄誉賞にまで選ばれたその活動は、私達に生きる事の意味を示してくれているような気がする。
乙武さんはバスケ部やアメフト部に入部して体を動かし、ミヒャエル・エンデを愛読して青春時代を過ごした。苦手な科目は理科と数学だったらしい。数字の肩に数字が乗っかった時点で諦めて、ルートやログが出てきた時には思わず「すみません.勘弁して下さい」と謝りたくなったそうだ。逆に、得意な科目はとことんこなした。早稲田大学のカルト的な日本史では自称「日本史オタク」の力を発揮したそうだ。乙武さんは八割五分、日本史で受かったようなものだと後に語っている。
乙武さんの魅力はその人間性にある。「自分らしく自由」に生きているのだ。そんな乙武さんらしさが私達をとらえるのだろう。「障害」を障害としない心の広さ。それが乙武さんをより魅力的に見せているのかもしれない。
ここで注意すべきは「障害」という言葉の持つ意味である。障害−さわり、さまたげ、じゃま(広辞苑)はたして本当にそうなのだろうか。確かに日常生活を営む上で多少のさまたげにはなるだろう。しかしそれが生きていく上で障害になるとは限らない。ただ、偶然すべてのパーツがそろっている人間が、そうでない人達を差別的な意味を含めて「障害者」と呼ぶから障害となりうるのだ。私達の偏見が障害を障害たらしめているのだ。一人一人熟考していただきたい。
乙武さんの著書「五体不満足」や新刊の「プレゼント」には、乙武さんの熱いメッセージが込められている。乙武さんの自由闊達な気質と才能を感じることのできるこれらの本は、一読の価値がある。自治と自由をこよなく愛す清陵生全員に読んで欲しい。
乙武さんが文化講演会に来れなくなってしまったことはとても残念だ。しかし、私達は乙武さんの様々な活動を通して、乙武さんに触れ合うことができる。またの機会を期待すると共に、乙武さんのこれからの御多幸と御活躍を願おうではないか。
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