長野県須坂園芸高等学校
明るい学園美しい心
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School of inspired learning

農業高校の大きな行事として例年行われてきた「収穫祝」ですが、今年は須坂園芸の2・3学年と、新たに須坂創成の1学年が加わって、2校が集う合同の「収穫祝」を行いました。 農業科だけでなく、工業科と商業科も式典に参加して、この春から農作物の生育状況を報告する「農場報告」と来賓祝辞、研究成果の発表に耳を傾けました。
 式典の後は、自然の恵みに感謝しながらの昼食会を行いました。
今日一日は、大地の恵みに感謝し、この一年無事に実習ができ、たくさんの農産物が収穫できたことを喜び、そして、植物・動物の「命」を戴いて、生命の尊さを感じる一日でした。

朝5時から始まった先生方による「赤飯」炊きと、食品科学専攻の生徒達が行った赤飯のパック詰めとトン汁の煮込みの様子と、式典・昼食会の様子を掲載します。

  前日の夜の式典会場(体育館)  11/12pm7:00

シート敷きと椅子を並べてすっかり会場作りが済んだ夕方の体育館に明かりが灯り、これからがフラワーデザインコースの生徒達の出番です。 ステージ上では、花の装飾と、演台上の飾りに各々の生徒が取り掛かっています。左右の配置やアリーナ席からの見栄えを気にしながらの装飾です。

  朝の食品加工室  11/13am5:00

まだ夜明け前の朝の5時、600人分超のお赤飯パックとトン汁の準備が始まりました。食品加工室には、前日から磨いでおいたもち米が浸漬し(ほとばし)てある大きな樽と、 刻んだハクサイ、ダイコン、ニンジンの大きなステンレス寸胴鍋が並んでいます。ボイラーに点火、もち米をざるに空けては蒸し器に投入し、先ず第1弾を蒸しあげ、 シトを打った後に、第2弾のもち米を納入して蒸かしあげて、第3弾まで行いました。仕上がったのは7時過ぎ。先生方は学校で朝食となりました。

 

  いよいよ式典   11/13 am9:20

式典次第
1 開会のことば(教頭)
2 学校長あいさつ(校長)
3 農場報告(農場主任)
4 来賓祝辞(須坂市副市長・須坂創成同窓会長・須坂園芸PTA会長)
5 各種賞状授与(校長・農業クラブ顧問)
6 閉会のことば(教頭)

 収穫祝式典での学校長あいさつと農場報告の内容(いずれも一部分)をご紹介します。

  学校長講話

学校長からは、全校生徒へ本日の収穫祝を迎えた喜びの言葉がありました。
「中略・・・
 さて、この一年、農業科の各科の特色を生かした、春からの栽培・加工実習ご苦労様でした。皆さんの額に汗した、まじめな取り組みにより、今年も、 農場から多くの生産物を収穫し、今日の収穫祝を迎えることができました。・・中略・・・
 今年からステージ上にあります二つの校旗のもとで、商業科、工業科の皆さんとともに全国の農業高校で行われている「収穫祝」を迎えられますこと、大変うれしく思っております。・・中略・・・
 本日は、「収穫祝」ですので、「産業の原点」であり、「国の本となる農業」について振り返ってみたいと思います。「農業」や「農学」は、英語で「アグリカルチャー」といいます。 アグリは「農業の」という意味で、カルチャーはラテン語に由来し、はじめは「土地を耕す」という意味で用いられていましたが、英語では「心を耕す」という意味があり、 そこから「文化」や「教養」として用いられるようになりました。このようにみると「アグリカルチャー」は、「農業」や「農学」というより「農業文化」と訳した方がいいかもしれません。
 本日行っている「収穫祝」も農業の文化のひとつであります。また、地域に目を向けると、春や秋に行われるお祭りや伝統芸能も代表的なものとしてあげられます。 主食である稲作は、昔から天候に左右され、豊作や不作を繰り返してきました。そのため人々は、春は、その年の豊作を願い。
 秋は、作物の収穫を喜び、感謝をするためのお祭を行ってきました。そのお祭りの中から農業にまつわる様々な文化が生まれてきました。
 一例を紹介しますと、日本を代表する「さくら」の語源も稲作文化が深く係っています。 さくらの「さ」は「サの神様」の意味で、「くら」は神様の座る台座である「みくら」という意味があり、「さくら」は、それらが複合して出来上がった言葉ではないかといわれています。 日本では、農耕をつかさどる「サの神様」が春になると山から降りてきて「みくら」である「さくらの木」に座って収穫の時まで見守っているという考え方があります。 「さの神様」にまつわる言葉として、興味深い言葉がいくつかあります。「さつき」の時期になると「さおとめ」たちが「さなえ」を植え、無事に苗を植え終わると「さなぶり」というお祝いを行い、その後、苗に必要な雨「さみだれ」が降れば豊作につながるとされ、自然とともに生き抜いていく「農耕民族」の思いを知ることができるのではないでしょうか。 我々の主食であるコメは、約3千年前に、大陸から持ち込まれました。
 今日、会食する「赤飯」も、稲作のはじめの頃は、赤米を用いていました。 しかし、この赤米の収穫量は非常に少ないため、普段は雑穀を主食として食べ、お祝い事やお祭りのときだけ赤米を食べていたと言われています。 このような米も長い年月をかけて、栽培方法や、品種改良、肥料・農薬・農機具の開発、農業基盤整備が進められ、ようやく20世紀後半になって安定した生産が可能となりました。そして今では世界に誇る「おいしいブランド米」として生産されるようになってきました。 私たちは、毎日、当たり前のように様々なものを口にしていますが、これまで先人達が試行錯誤を繰り返して、研究を重ね、確立した技術によって、今の食の生産があることを忘れてはならないと思います。
中略・・・
 結びに、収穫祝の今日は、降り注ぐ日の光と大地、天の恵みに畏敬の念を持ち、毎日の生活の中で見失いがちな「食」への「感謝」の気持ちと、安全な食べ物への思いを巡らせていただきたいことをお願いいたしまして、挨拶といたします。」

 農場報告

「中略・・・
 本日の収穫祝は農作物への感謝、食の大切さを考える行事です。多くの農業高校で行われ、収穫祭とも言われています。 農作物の栽培は、手をかけることによって品質の良いものが出来上がります。 須坂創成高校開校の今年、本校農場では、地産地消・食育・環境教育などを実践的に学んできました。
信州すざか農業小学校豊丘校への参加や須坂市への給食食材の提供など須坂市教育委員会のご理解・ご協力により取り組みを継続しています。
 この1年を振り返ってみますと、皆さんは、それぞれ果樹、野菜、花、米、小麦、校内庭園の管理、山林実習を通して、この地域の気候に適した作物を栽培し、 あるいは自然植生を学ぶ中で、特徴的な地域・農業文化を学び、景観・環境を保ち、生態系にも配慮して地域環境を守り育てています。 これからも「緑が萌え、清き流れの美しき郷土を守り、育てる。」ことに自信と誇りを持っていただきたいと思います。・・中略・・・
 就業体験学習に取り組みました。毎年、校外へ出ての体験実習を通して、生徒の皆さんが少し逞しくなったと感じています。・・中略・・・
 須商・創成マーケットが盛大に開催されました。さらに創造工学科のデュアルシステムが須高地区を中心とする51社が加盟する協力企業会により今年度の講話・企業見学から来年度の就業体験へ向けて準備が着々と進められています。・・中略・・・
 本校では、開かれた学校作り「須坂市民農業大学校園芸塾」を開講し、今年で7年目となります。・・中略・・・
 第66回日本学校農業クラブ全国大会が10月20日から22日に群馬大会として開催されました。来年の全国大会は大阪大会です。 引き続き大会出場に向けて取り組んでほしいと思います。・・中略・・・
 長野電鉄と本校との環境整美事業実施協定もさらに3年間の締結が行われました。造園科の生徒にとって大きな励みとなっています。・・中略・・・
 農業経済科の生徒は、水稲多収技術が継続的に県内外から注目され、2年生は宮城県に足を運び、農業研修を行いました。 また、3年生は北陸作物学会へ作物クラブ・経営情報クラブとして参加し、発表者としての経験と研究発表を聴講することで貴重な勉強をする機会となりました。 新たに今年度から3年間、高山村の綿花試験栽培にかかる連携協働に関する協定を結び、信州大学繊維学部及び高山村農業委員会との連携により綿花栽培の現地実習・研究活動に着手しています。 今年も、明日から東京大丸松坂屋百貨店において全国農業高校収穫祭に合わせ、本校産のコメ・パンの販売実習をしながら、地元須坂のPR活動を行う予定です。
 本日、収穫祝会場のフラワーアレンジメントは、フラワーデザインコースの生徒が手掛けてくれたものです。 さらに会食では、赤飯、豚汁、リンゴが用意されています。もち米、リンゴ、ハクサイ、ダイコン、長ネギなどは生徒が栽培しました。 今年の農作業が無事終わったことに感謝し、また来年の豊作を祈念して、よく味わっていただきたいと思います。」

 来賓の方々からのご祝辞

地元須坂市、長野県農業試験場、長野県農業大学校、JA、近隣中学校、学校評議員にわたる大勢のご来賓のみなさまにお越しいただきました。時間の関係で、次の3名のご来賓からご祝辞をいただきました。
  須坂市 副市長 中澤 正直 様
  須坂創成高校同窓会長 村石 正郎 様
  PTA会長 佐藤 健 様

 各種表彰

夏休み以降、2学期の間に外部団体から表彰された次の生徒が表彰されました。


第66回 日本学校農業クラブ全国大会群馬大会
  農業鑑定競技 区分「園芸」  優秀賞  2年 竹内潤之介
  農業鑑定競技 区分「食品科学」優秀賞  2年 佐藤由衣

農業クラブ北信越ブロック大会
  プロジェクト発表 区分「文化・生活」優秀賞
   発表題目
   「叒譜の杜プロジェクト ~歴史ある桜が咲く、憩いの場の創出~」
     造園クラブ・造園科8名(代表3年 阿部柊真)

農業クラブ各種県大会
  プロジェクト発表 区分「食料・生産」JA長野県賞
     発表題目
    風さやかがおこす稲作の新しい風 
     作物クラブ・農業経済科7名(代表3年 竹内裕香)
  プロジェクト発表 区分「環境」JA長野県賞
     発表題目
    野生キノコ「サケツバタケ」の人工栽培化とその利用に関する研究
     バイテククラブ・食品科学科9名(代表3年 山崎智佳良)
  家畜審査競技会 乳牛の部 優秀賞
      1年 鈴木晴花

 生徒発表 11/13 am10:15

農ク県大会意見発表           区分「食料・生産」優秀賞  園芸科 3-4 丸山魁斗
 農ク北信越ブロック大会プロジェクト大会 区分「文化・生活」優秀賞  造園クラブ・造園科 3年阿部柊真 他8名
 農業経済科 宮城県農業研修報告  農業経済科 2年小林・池田・梅柗・島田

 お赤飯とトン汁の準備 =3年の食品製造コース食品科学コースと先生=  11/13AM10:00

収穫祝の調理担当から、昼食会に際してプリントが出されて、食するということについて各HRでは担任から生徒達の心に訴えかけられました。
 我々日本人は、「いただきます」と言い、両手を合わせてから食事を始めます。家族そろって、仲間と一緒に、また、たとえ一人であっても、食事の前には自然と「いただきます」 と言っていることと思います。この行為にはどんな意味があるのでしょう。みなさんが知っての通り、「いただきます」というのは、食べ物に対して「あなたの命をいただきます」という意味であり、 食べ物そのものに感謝する言葉です。少々おおげさに感じるかもしれませんが、古来の日本では、食事をすることそのものが食材の命と自分の命を交換する儀式(神事)としてとらえられていた、 とも言われています。「いただく」という言葉は、神様にお供えしたものを食べるときや、位の高い方から物を受取るときに、頂(いただき、頭の上)にかかげたことから使われるようになったそうです。 日本では古くから、すべての物に神が宿ると信じられてきました。大自然からその命をいただき、自分の命と交換する。日本人はそうやって生きてきたのです。 ・・中略・・ 日本人が「いただきます」というとき、食べ物、さらに言えば大地の恵み、大自然への感謝の気持ちが宿っており、そこに特有の日本人らしさがあることは確かです。
 本日の収穫祝の会食には、本校で生産されたりんご・野菜・米・そして本校で製造された味噌が使われています。数多くの収穫があったことを祝うこの日に、農産物の命はもちろん、 自分を取り巻くすべてのものに感謝しながら、クラスメイトとの会食を楽しんでください。
~会食に使用されている本校産の食材は次のとおりです。~
  赤飯:もち米(モリモリモチ)、うるち米(コシヒカリ)
  豚汁:ハクサイ(黄ごころ65)、ダイコン(耐病総太り)、長ネギ(松本一本)、タマネギ(アトン)、ジャガイモ(出島)、ニンジン(ひとみ5寸)、味噌
  りんご(ふじ)

 昼食会  11/13AM11:30

 先生方が5:00から蒸煮したお赤飯を3年の食品製造コースの生徒が約600名分のお赤飯パックにしてくれました。3年の食品科学コースの生徒は約600名が存分に味わえるトン汁を先生と作ってくれました。式典が終わった11:20には、お赤飯とトン汁と丸ごと1個ずつのリンゴが各部クラス分ずつに準備が完了していました。食品加工室から各HRへは、クラスの代表者が運び、それぞれのHRで配膳されました。
 各クラスでは、机を向い合せたり、先生や生徒でみんなの分のトン汁を装う(よそう)などクラス毎のカラーが出ていました。トン汁のお椀は各自が持ち寄ったので、大小さまざま、おかわりも自由で、満腹のようでした。 いずれのクラスも楽しそうな昼食会でした。 また、日頃、二つのキャンパスで学習している須坂創成高校の1年生ですが、今日の収穫祝には、商業科の1年生も須園キャンパスに来て、式典に参加して、昼食会を楽しんでもらえました。



  


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