長野県須坂園芸高等学校
明るい学園美しい心
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School of inspired learning

今年も厳粛に執り行われました学校行事「収穫祝」。式典・成果発表、そして会食。 農業高校で学ぶ生徒、職員にとって、人間教育に通じるもっとも大切な行事です。学校によっては「収穫祭」と呼ぶところもあります。

大地の恵みに感謝し、この一年無事に実習ができ、たくさんの農産物が収穫できたことを喜びあいます。 そして、植物・動物の「命」をいただき、生命の尊さを感じる一日でした。

  学校長講話

収穫祝式典での学校長あいさつと農場報告の内容(いずれも一部分)をご紹介します。

学校長からは、全校生徒へ本日の収穫祝を迎えた喜びの言葉がありました。

「中略・・・さて、全校生徒の皆さん、この1年、各科の特色を生かした春からの栽培・加工実習ご苦労様でした。皆さんの額に汗した、まじめな取り組みにより、今年も農場から多くの生産物を収穫し、今日の収穫祝を迎えることができます。 今年は、地域連携の一環として取り組みました、①「すざか農業小学校」の野菜クラブの活動 ②須坂市民農業大学校の園芸塾生との合同授業 ③須坂駅前庭園、小布施駅構内庭園の造園クラブの設計、施工  ④遊休農地を用いて6次産業化の研究を行った経営情報クラブの活動 そして、⑤北海道、宮城、新潟圃場において稲作多収技術の実証試験を行った作物クラブの研究等、  多くの生徒諸君が世代を超えて地域の皆様と交流し、校内での学びを深化・発展することができました。そして、その学びは、農業クラブを始めとした発表会や学会、コンクール等において情報発信し、活動の巾を広げ、成果を得ることができました。

また、学校農業クラブ全国大会首都圏大会では、学びの成果である農業鑑定競技会、プロジェクト発表会で優秀な成績を修めてくれました。  本日、収穫祝において、ご来賓の皆様にこの大きな実りを報告できますことをうれしく思っております。 ・・・中略・・・(本校卒業生 鈴木幸さん、湯本光さんの紹介後)本日の収穫祝に間に合うように、生徒の皆さんが毎日見ることができる昇降口前に技能五輪世界大会記念庭園を作っていただきました。 生徒の皆さんは、この庭園を見ながら、これからも今以上に大きな志を持って、勉学に励んでもらいたいと思います。 この記念庭園は、平成27年度からスタートする「須坂創成高等学校」に繋がるものであります。 ・・・中略・・・そして、新校の目指すところは「須坂から世界に羽ばたく創成力」であります。 まさに、新校の開校前に鈴木さん、湯本さんのお二人は「造園」の分野で「須坂から世界」に羽ばたいてくれました。 このことは、園芸高校が常に新たな時代に挑戦する、農業教育の理念が実証された一例でもあります。生徒の皆さんもそれぞれの夢に向かって大きく羽ばたいてほしいと思います。」


 各種表彰

・第64回日本学校農業クラブ全国大会長崎大会 農業鑑定競技 区分「園芸」の部 優秀賞

  3年 栗林 紗和

・第64回日本学校農業クラブ全国大会長崎大会 農業鑑定競技 区分「造園」の部 優秀賞

  3年 菅沼 幸希

・農業クラブ北信越ブロック大会 プロジェクト発表 区分「環境」最優秀賞

  発表題目「身近な自然を生かした緑化活動~産学官と連携した環境創造の取り組み~」

  造園クラブ2・3年25名 代表3年 久保 香織(造園クラブ部長)

・須坂市児童青少年育成委員会 多くの生徒が手伝った須坂駅構内の緑化整備事業で「環境美化賞」として表彰 

  受賞名:「善行賞」

  3年 竹内 晴香(造園クラブ副部長)

・長野県立須坂病院「庭園製作による環境美化」感謝状

  2年 宮林 寛明(造園技術コース代表)

 農場報告

続いて農場主任から農場報告がありました。

「中略・・・この1年間を振り返ってみたいと思います。1年生は、高校へ入学してコース導入の基礎科目を学習してきました。今年から新学習指導要領がはじまり、「農業と環境」では、圃場でじゃがいも・ハクサイの栽培を行い、収穫した作物を笑顔で家に持ち帰る姿がありました。 作物の栽培だけでなく、畑の雑草の調査を行いました。土の状態を調べ、作物に適した土壌の酸度や土の固まりの状態を知り、生育環境について学習を深めています。 セミの分布調査を行い、地球温暖化による生態系への影響も学習しました。 ・・・中略・・・種まきから生産・販売まで行い、地元で採れた作物を地元で消費する地産地消の学びにつながりました。

最近のニュースでは、一流ホテルや百貨店での「食品の偽装表示」問題がありました。長く続いてきた「米の減反制度の廃止」も話題になっています。 2・3年生は各学科、コースの学習で、食の安全・安心に向けて、農場生産物の農薬使用の抑制、バイオテクノロジー技術を用いた野生酵母の分離、きのこのセンチュウ捕食菌の研究、衛生管理、農産加工品の品質の向上、「コメ」の多収技術の研究、遊休農地を活用した「小麦」の国産消費拡大に向けた研究、須坂新校に向けた「植物工場」の準備に向けた養液栽培など、に取り組んできました。

農業は産業であり、日本は全国いたるところに地域の独自性があります。そのことにより、豊かな活力を生み出すことができます。皆さんは、それぞれ、野菜、果樹、花、米、小麦の栽培、校内庭園の管理を通して、この地域の気候に適した作物・植物を栽培し管理しています。 村山ごぼう・八町きゅうり・ボタンコショウなど、伝統的な品種を育てて、技術を継承し、特徴的な農業文化を学び、環境保全にも役立っています。 農業はそのことができる産業です。「人間は生きもの」で、「人間は自然の一部」ですが、この感覚で現在の社会は作られてはいません。 生命の歴史を生命誌といいますが、生き物は38億年の歴史があり、今の私たちがあります。経済性を追求した利便性や均一性も大切ですが、作物の栽培を通して、伝承してきた生命の継続性や多様性を大切にした命の重みを感じることができるのです。 そして、私たちも全員が、同じ時間の重みを持っているのです。地域活動をとおして、人とのつながり、他の生きものとのつながりを持ち、分かち合う心と世代を超えた助け合いの心を育ててほしいと思います。

3年前からから本校では、全学年で学期ごとにキャリアウィークの期間を設けています。3年生は、5月のキャリアウィーク期間に、企業などの就業体験実習に取り組みました。7月・8月には2年生を中心として85名が企業・先進農家の就業体験実習に参加しました。 参加した生徒のアンケート結果から出された意見を紹介します。 ・・・中略・・・そして、社会へ出て働くために必要と感じたことについては、多くの皆さんが「コミュニケーション能力」「忍耐力」「体力」「言葉づかい」「あいさつ」「礼儀作法」「気配り」の大切さを上げています。

企業の担当者からは、「一つの事をやる集中力は何をするにも必要になります。小さな仕事も、大きな仕事も、一つ一つ真剣にやらなくてはいけません。社会人になると、まず大切なのが挨拶です。 すれ違いや初めて会う朝礼時など、勇気を出して大きな声で挨拶してみてください。」などの助言をいただいています。 参加した生徒の皆さんはこの体験を通して、職業人として必要な勤労の大切さ、職業選択の機会を得た思いがよく伝わってきました。 今後の進路選択に生かしてください。・・・中略・・・ 

本日の収穫祝では、赤飯、漬物、リンゴ、豚汁が用意されています。もち米、リンゴ、ダイコン、ハクサイ、長ネギ、ニンジンは生徒が栽培しました。 今年の農作業が無事終わったことに感謝し、また来年の豊作を祈念してよく味わっていただきたいと思います。壇上の美しいフラワーアレンジは、フラワーデザインコースの生徒作品です。 昨年締結した、生徒の多くが利用している長野電鉄と本校との3年間にわたる協定も2年目を迎えています。須坂市青少年育成会及び笠原長野電鉄社長から感謝状をいただいた須坂駅前庭園の実習作品の完成など、造園科の生徒にとって大きな励みとなりました。 農業経済科の生徒は、今年の夏に1泊2日で宮城県へ足を運び、農業研修を行いました。東日本大震災で大きな被害を受けた宮城農業高校の作物専攻班と水稲栽培技術についての情報交換を行い、(株)舞台ファームの農業施設の視察を行うなど、大変勉強になるものだったと聞いています。 3年生28名は北陸作物学会へ参加して発表し、貴重な体験を重ねています。・・・中略・・・ 今後の進路選択に生かしてください。・・・中略・・・ 

来月には、平成27年度開校の須坂新校に向けて、工業科棟の建設工事が始まります。来年度に向けて、種まきはすでに始まっています。 新しい時代を切り開く力をつけるため、1人ひとり目標を持って、農業の専門コースでの学習の準備を進めていきましょう。

 成果発表

・技能五輪世界大会報告 

  鈴木 幸(平成22年度卒業) 湯本 光(平成23年度卒業)

・仙台農業研修報告

  2年流通経済・情報会計コース 代表 塩川祐美花 吉田成花 

・農業クラブ全国大会プロジェクト発表区分環境「身近な自然を生かした緑化活動 ~産学官と連携した環境創造の取り組み~」             

  造園クラブ 代表 久保 香織(3年)他6名

 海外での収穫祭

海外に収穫祭はないかと調べてみると、恐らくアメリカやカナダで行われているThanksgiving Day(感謝祭)がそれに近いものだろうと思われます。 感謝祭はアメリカ合衆国とカナダの祝日のひとつでThanksgivingと略称されたり、あるいはTurkey Day(七面鳥の日)と呼んだりもします。 アメリカでは11月の第4木曜日、カナダでは10月の第2月曜日に行われ、日本のプロテスタントでは収穫感謝日と呼ばれます。 ウィキペディアに依れば「感謝祭は、イギリスからマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピルグリムファーザーズの最初の収穫を記念する行事であると一般的に信じられている。 ピルグリムがプリマスに到着した1620年の冬は大変厳しく、大勢の死者を出したが、翌年、近隣に居住していたインディアンのワンパノアグ族からトウモロコシその他新大陸での作物の栽培知識の教授を得て生き延びることができた。 1621年の秋は、とりわけ収穫が多かったため、ピルグリムファーザーズはワンパノアグ族を招待して、神の恵みに感謝して共にご馳走をいただいたことが始まりであるとされる。 イギリス人の入植者もワンパノアグ族も秋の収穫を祝う伝統を持っており、この年のこの出来事は特に感謝祭と位置づけられてはいなかった。 プリマス植民地で最初に祝われた1623年の感謝祭は食事会というよりもむしろ教会で礼拝を行い、神に感謝を捧げる宗教的な意味合いが強かった」ということなので本校の収穫祝同様にとても神聖な行事だったと考えられます。 今では家族の食事会といった要素が強くなり離れて生活している家族なども実家に戻って共に食事を摂り家族の健康と絆を再確認するような家族行事となっているようです。 一方で、インディアン達は「感謝祭」は、この日を境に土地がヨーロッパからの移民達に奪われた、「大量虐殺の始まりの日」としており、「ピルグリムファーザーズ」のこの「感謝祭」にぶつけて同じ日に、「全米哀悼の日」としてデモ抗議を毎年行い、喪服を着て虐殺された先祖達に祈りを捧げているということですから同じ行事でも見方の違いで何とも生臭いものになります。

農耕民族としての長い歴史を持ち海外からの侵略者に植民地化されたことがない日本ならではの収穫祝いは伝統文化として残すべき大切なものでありましょう。 3年間農業高校で学んできた皆さんが守り伝えていくべき重要な行事を一つの節目として礼を尽くして迎えましょう。




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特集!本校と長野電鉄株式会社様との協定~その2~
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