2月19日(月)、本校出身のOBが来校し、技能五輪についての講演と実演をして頂きました。技能五輪とは国内の青年技能者を対象に、技能競技を通じて技能の重要性や必要性を広くアピールする目的ではじまったもので、今年で61回になります。
本校OBの山崎寛文さん、丸山舜介さんはともに機械工学科を卒業され、セイコーエプソン株式会社に就職しました。山崎さんは入社後3年間、技能五輪に参加し、現在は若手の指導員という立場で技能の向上をめざしているとのことです。丸山さんは昨年、技能五輪に参加し全国大会に進んだけれども、入賞はできなかったので今年はさらに上位をねらいたいとのことでした。

講演の中で、技能五輪のレベルの高さは相当なもので、事前の訓練期間に本番を想定した訓練を十分に行い、その上で本番に臨んでいることが分かりました。それほど準備を重ねても「本番に練習以上の成果を出すことはできない」と。参加者は毎日、技能の向上を図るべく特訓を受けるため、10年で修得するような技能を短期間のうちに身につけるようになるけれど、しかし精神的にはきつい修行のような面もあるので、それを乗り越えてはじめて技能五輪に参加した意味をかみしめることができると体験談を語ってくれました。
技能五輪ではまずCADによる設計競技から始まります。講演の後、丸山さんにCADによる設計の実演をして頂きましたが、設計するスピードの驚くほどの速さ!まさに神技かと思うばかりでした。設計競技が終わると機械加工の競技になります。フライス盤を使って金型を製作するわけですが、金型の精度は0.015mm以内!。制限時間は3時間15分。そして機械加工後、仕上げの磨きになります。この「磨き」の完成度によって、実際にプラスチック射出成型によって出来上がってくる製品の完成度が決まるため、「磨き」はとても重要です。

講演の中で、結果が出ない時や失敗したときのことについて話をしてくれました。印象に残ったのは「なぜなぜ分析」の部分でした。これは「なぜ」という問いかけを繰り返し、失敗した本当の原因(真因)をつきとめ、そこを改善していくことで同じ失敗を繰り返さないという考え方です。ともすると私たちは表面的な失敗の繕いだけで真因を考えず、同じ間違いを繰り返しているということがあるものです。この「なぜなぜ分析」はどの場面でも有効な手段だと思いました。
講演後、「CAD」「磨き」の工程を短時実演して頂きました。丸山さん入魂の「磨き」そしてそれを見つめる生徒たちの真剣なまなざしがとても印象的でした。昨今、技能の伝承が問われています。こうした取り組みも技能伝承の一環なのでしょうね。機械工学科のみんな、技能五輪をめざそう!