【土木工学科】2年生が地元技術者から鉄筋の組み立てを学びました

11月10日(木)に長野県鉄筋業協会の会員企業の方々を講師に招き、土木工学科2年生が鉄筋コンクリート構造物の中に配置される鉄筋の組み立てについて学びました。コンクリートを材料として造られる構造物の中には、外観からは分かりませんが、強い構造とするために鉄筋が内部に組み込まれています。コンクリートを流し込んで固める前に所定の位置に鉄筋を組み立てる作業を配筋(はいきん)といいます。土木の分野では、多くの構造物が鉄筋コンクリートで造られますが、鉄筋はコンクリートの内部に配置され、完成するとみることができないため、配筋の形状やその組み立て方法を知る機会はとても貴重です。今回は、実際に鉄筋を組み上げる作業を通して、設計・施工・維持管理などに理解を深めるために研修会を開催しました。

(写真1)講義では配筋作業の役割や業界の説明を受講

設計図面に従い、所定の場所に鉄筋を配置し、コンクリートを流し込んでもずれることがないように鉄筋同志を結束線と呼ばれる細い針金で固定します。講義では、土木構造物における鉄筋の役割や、鉄筋を配置する配筋作業の手法および注意点を確認しました。続いての実習では5班に分かれ、土を押さえる「逆 T 擁壁」という土木分野でよく造られる構造物を、高さ2m・幅2m・奥行き2mの大きさで設計した図面にもとづいて講師の指導のもと組み立てました。 講師の方々は、鉄筋施工業務に従事するベテラン技術者です。

(写真2)ハッカーで複数の鉄筋を固定する結束方法を習います

図面の読み取り方、役割ごとに違う鉄筋の呼び方、形状の意味、設計図に記されない寸法や数量の求め方、配筋順序の工夫や現場対応の大 切さなど、丁寧にご指導いただきました。 鉄筋を固定する際には「ハッカー」という道具を使い、結束線で鉄筋どうしをつなぐ「結束」作業を行います。

(写真3)設計図面を読み取り鉄筋の種類や配置、作業の確認をします

両手のバランスや、細い結束線をねじ切らない力加減と回転数など慣れない道具の扱いに戸惑いながらも、講師の方々にコツを教えていただきながら器用に道具の先端を回転させ固定できるようになりました。生徒は講師の方々に構造上の配筋の重要性と、施工作業面での鉄筋施工の難しさと意義や役割を教えていただきながら学ぶことができました。

(写真4)土台となる部分の鉄筋を所定の位置に並べ結束していきます

2年生は高校生活も折り返しとなり、卒業後の進路について具体的に考える時期となります。土木業界を構成する様々な仕事について見識を広げ、それぞれの内容や社会における役割を理解するとともに、自分の希望や適性についても客観的に見つめ考えます。

(写真5)組んだ土台の上に壁部分の鉄筋を協力して組み上げます

今回の実践的な講習を通じ、第一線で活躍する技術者の仕事に対する姿を間近に見て、一緒に作業をした経験は、安心安全な構造物を造るため責任ある仕事の一端に触れる学びとなりました。また、初めての事に対して他者と協力して物事を進める貴重な体験でもあり、生徒たちは普段の生活では得られない経験を通し、様々な事を考える機会となりました

(写真6)完成!組み上げた鉄筋を前に講師の方々と記念撮影