食品化学科NEWS
No.033 きなこ中の鉄の定量実験
  12月
3年生の食品化学の授業で、食品中の鉄をオルトフェナントロリン法を用いて分析しました。

オルトフェナントロリン法は、オルトフェナントロリンが酸性で鉄イオンと反応する性質を利用し、
オレンジ色の濃さ(緑色光が透過する割合)をもとに鉄を定量する方法です。

  事前に灰化したきなこを3mol/L塩酸 7〜8mLで溶かし、
蒸留水で100mlに定容した溶液を試料溶液とします。


試料溶液10mlに指示薬を数滴加えた後、25%クエン酸ナトリウム溶液で滴定します。

溶液の色が黄色→緑色になったら終了です。
この時、pH3.5にするために必要なクエン酸ナトリウム溶液の量を記録します。

次に、検量線用の鉄標準液を作成します。
硫酸鉄アンモニウム溶液を5ml採取し、100mLに定容します。
これを標準液とします。


25mlメスフラスコを各班6個用意します。
これらにそれぞれ、検量線用の鉄標準液を0・1・2・5・10mlと試料溶液を10ml採取し注ぎます。
その後、クエン酸ナトリウムを滴定量、1%ヒドロキノンを1ml、
オルトフェナントロリンナトリウム溶液を2ml、全てのメスフラスコに注ぎます。

 
メスフラスコを蒸留水で定容したのち、よく撹拌します。
この時点で溶液がオレンジ色になっていますね。
この溶液を、吸光度測定用セルに8分目を目安に注ぎます。

 
これらのセルを、分光光度計という分析機械に差し込み、吸光度を計測します。
鉄標準溶液の吸光度をもとに、方眼紙で数直線(検量線)を作成します。

 
検量線から、溶液中の鉄の濃度を読み取ります。
このようにして、およそ7mg/100mlと非常にわずかな量の鉄を定量できました。
食品化学科では、食品中の栄養成分についてとても細かく分析ができます。