平成30年度 農場報告

グリーンサイエンス科

フードコース

 3年生が中心に栽培管理した醸造用ブドウは、8月上旬までは順調であったものの、8月下旬からの天候不順により病気の発生が多く、品種によっては収穫量が減少した。仕込んだワインについては、順調に発酵・熟成している。2年生が中心に栽培管理した加工用トマトは順調に生育し、例年並みの収量となった。また、品質面についても良好なトマトが収穫できた。トマトジュース・ケチャップを製造し、お買い求めいただいた方からは好評であった。昨年から、安曇野市及び周辺農家の方々にご協力いただき、夏秋イチゴを提供していただいている。ジャムの原料として、また、製品開発の教材として利用し学習を深めた。地域連携により製品開発などの学習機会を頂いた。また、各イベント参加を通しての試食・販売実習等、直接消費者の声を聞く機会に恵まれ、実践的な学習が出来た。また、学校開放講座は年13回実施し、企画力・指導力・コミュニケーション能力を向上させる良い機会とすることができた。栽培から製造・開発・販売と食品に関する幅広く学習することができた。

フラワーコース

2,3年生が主体となってシクラメンの栽培を行ってきた。葉組みなどの管理を丁寧に行い、夏の暑さを乗り切って順調に生育している。マイクロミニシクラメン、ミニシクラメン、大鉢のシクラメン、シクラメンの寄せ植えなど、販売種類を多彩にして、消費者ニーズを考えた栽培を行っている。切り花では、アスター、トルコギキョウを栽培し、夏期休業中のお盆に合わせ、盆花として1年生が販売活動を行った。秋には千輪菊(丸菊)を販売したが、ピンク、赤、黄、どれも開花は良好で、地域の皆様に大変喜ばれた。春先のPTA総会の折には、早咲きのひまわりを会員の方に提供し、大変好評であった。地域活動では、10年目を迎える豊科交番の花壇製作に加えて、今年は長野銀行の花壇製作をさせていただいた。サルビア、マリーゴールド、ジニア、ペチュニアなどの春苗花壇をデザインし定植した。秋にはそれぞれ、寒さに強いハボタンを花壇へ定植した。地域交流活動は、春の花苗を活用し、季節の寄せ植え教室を地区の公民館4カ所で開催することができた。保育園、デイサービスとの交流では、施設のご協力を頂き、押し花や花苗を使った園芸福祉活動を実施できた。このほか、販売活動では、多くの地域販売に参加し、草花生産や商品開発など研究部の活動へと発展させた学習につなげることができた。 草花の育成から管理・商品化、活用法などを学ぶとともに、地域での交流活動を通じて自己の在り方・生き方を考える機会を提供し、人間性豊かな成長を推し進めている。

フルーツコース

 ブドウにおける鳥害は販売に影響が生じない程度で、被害は少なかった。夏場の気温が上がらなかった日が続き収穫期が例年よりも遅くなった。品質は例年のように良いものができた。リンゴは、収量的には例年並みであるが、夏場の日照不足などの天候により、玉伸び・着色が遅れたが、品質としては例年並みの良いものが収穫できた。10月上旬の台風よる落果があった。地域交流については、今年度も5月より3年生を中心に、3つの交流会を企画立案・実施運営した。堀金小学校3年生とのリンゴ栽培体験交流・あづみ野分教室との果樹栽培体験交流においては、生徒達なりの工夫を凝らしながら交流を深めることができた。また、学校開放講座の1つ「地域くだもの交流会」も生徒たちは苦心しながらも、工夫を凝らした講座を作り上げた。生徒は交流運営を通じ、コミュニケーション能力・指導力・判断力等が身に付き、大きく成長した。今後も生徒の自主性を重視し、果樹の栽培管理実習とグリーン・ツーリズムに関する学習の充実を図っていく。


生物工学科

植物育種コース

 1年生の植物バイオテクノロジーでは、培地の作製から葉片・茎頂を用いた組織培養を行い、植物バイオテクノロジーの基礎知識および技術の習得に取り組んでいる。2年生は、圃場での栽培技術習得のためアスターや秋野菜の栽培研究を行った。夏には盆花の販売実習を行い、農産物の流通についての理解を深めた。プロジェクト研究では、カーネーション、セントポーリア、コオニユリ等を教材として組織培養実験を行った。また、総合教育センターにて遺伝子組換実験を行い、先端技術を学んだ。3年生は課題研究において、国営アルプスあづみの公園との連携活動として、クララ、タケニグサ、アズミノヘラオモダカ、ツルボ、等の安曇野地域の在来植物や希少植物における大量増殖に関する卒業論文研究を実践している。また、研究部で増殖したコオニユリについて、白馬五竜高山植物園で調査や植栽を実施する予定である。そして安曇野の特産「ワサビ」や「夏秋イチゴ」における地域と密着した連携プロジェクトも展開している。

動物育種コース

 2年生は主として鶏の生理生態について学習を深め、プロジェクト学習では採卵鶏を題材に調査研究を行った。飼料作物のデントコーン・ソルガムを栽培し、サイレージ調整まで学ぶことができた。3年生は卒業研究で、16年ぶりに豚の肥育を始めることができた。また、長野県商業教育研究会主催の「マーケティング塾」に塾生として4名参加し、塾生として学んだマーケティング学習を活かし、銘柄鶏「信州福味鶏」や「安曇野しゃも」を使用した新商品開発を行った。マーケティング学習の実践として、井上百貨店や各種イベントに参加し、消費者声を飼育管理実習にフィードバック出来た。また畜産における地域課題解決を目指し、牛乳・鶏肉・鶏卵・豚肉の消費拡大プロジェクトとして、そばの甘皮を活用した鶏卵の販売およびそば玉プリン開発を行い、各種メディアに取り上げて頂いた。愛玩動物飼養管理士準2級を2年生全員で受験し、3年生も同2級取得を目標に取り組んでいる。また、犬のしつけに関する特別講義を実施し、その学びを活かして長野県動物愛護会安曇野支部と共催で「犬のしつけ方教室」を開催し、地域活動を活用した本校で飼養できない愛玩動物に関する学習も深めている。10月には、雄の子牛「雪輝」を出荷し約800,000円で競り落とされた。高大連携事業では、日本獣医生命科学大学付属富士アニマル農場実習に4名が参加した。

微生物コース

1年生は、微生物の形態観察や分離培養等の基礎的な学習を重点的に行った。2年生は、開放講座で作製した「南農腐葉土」成分の定量分析と各プロジェクト研究を進めた。さらに、総合教育センターでDNA実験等をとおして先端的なバイテク技術を体験的に学ぶことができた。3年生は、廃棄物を活用した南農発酵一号と菌床きのこの栽培、バイオエタノール発酵試験、微生物による水質浄化及びタンパク質と糖分の定量分析等のプロジェクト研究を行っている。また、研究部でも、「校内樹木の落葉を活用した腐葉土の製造」に関する研究に取組んだ。このような成果を農業クラブ校内発表会で発表し審査員賞を受賞した。また、学習に関わる資格として危険物取扱者や毒物劇物取扱者試験に希望者が挑戦した。

環境クリエイト科

設計エンジニアコース

 7年前から土木系施工テクニカルから分離したコースで、大学(工学)・専門学校(土木)・公務員(土木職)、就職(土木)への進路実現のために新設された。5年前から公務員への道が開け、国家・県・地元市への公務員希望者の夢を実現してきた。現在は大町市、安曇野市、松本市、塩尻市の4市が採用試験を実施している。各市とも1名程度の採用であるとともに地元出身者を採用している。コースでは「水理」・「土質」・「力学」など、土木に必須である要素を充実し、より専門性の深化を目指した内容を取り入れ学んでいる。2年次の研修においては進路希望を考慮して、市役所、測量設計業協会及び県建設事務所・地方事務所で実施した。本年より「学びと働きを連携させた信州創成のための新たな人材育成モデル事業」の指定を受け、最新式のトータルステーション4台とデータ処理のPC4台が導入された。測量設計業協会の支援により、最先端の研修を数多く実施し、生徒の知識・技術の向上に努めるなど、即戦力となる人材育成を目標に取り組んでいる。また、コンサルタント業についても企業の協力により講演会を実施しているため、進路については実績も上がっている。現3年生11名の内、自衛隊1、松本市役所1,製造業1が採用合格している。また、国家公務員3、長野県職3、安曇野市役所3、塩尻市役所1(いずれも土木職)が結果待ちである。進学は、四大(土木)3を予定している。

施工テクニカルコース

 2年生は、測量や土木材料についての学習を深め、コースプロジェクトでコンクリートを題材に圧縮強度試験等を行った。また、安曇野建設事務所や長野県建設業協会安曇野支部・松筑支部・大北支部、長野県測量設計業協会、国交省北陸地方整備局千曲川河川事務所との産・学・官連携として実務研修や視察研修を通して、様々な知識・技能を習得するとともに進路選択の一助となった。3年生は、階段造り、看板製作、部室前通路舗装などのプロジェクト学習を行っている。このプロジェクト研究においても、共和アスコン()、中信木材センターはじめ、多くの企業に協力をいただきながら、取り組んでいる。開放講座では土木建設業の仕事を体験しようと題してピザ釜作りを行ったが、生徒自ら技術向上に励み、受講生から好評を得た。資格取得では、昨年度2級土木施工管理技術者試験に13名が合格し、今年もコース全員が受験した。今年は2級土木施工管理技術者試験全員合格に向けて、長野県建設業協会の協力のもと、講師を富士教育訓練センターよりお迎えし、夏休み特別講習会を実施した。結果は12月中旬に発表予定。進路では、13名中、8名が土木建設関係に就職内定をいただいた。

環境デザインコース

2年生は、造園やガーデニングに関する知識・技術を幅広く学んでいる。安曇野建設事務所、長野県測量設計業協会との産学官連携として本校第二農場にて平板測量実習を実施した。また、学校法人専門学校中央工学校より講師を招き「箱庭庭園の模型作り」を実施した。現在は11月におこなわれるエクステリアプランナー2級合格へ向けて学習に取り組んでいる。3年生は、4月から国家資格である造園技能検定3級に取り組み、16名の生徒が合格した。また、第二農場の看板の製作、国営アルプスあづみ野公園入口の庭園設計、校内への石庭の製作、洋風庭園の製作、前庭の芝生化、室内庭園の製作、個人住宅庭園の設計、ミニ袖垣の製作などのプロジェクト学習を行っている。このプロジェクト研究においても、長野県安曇野建設事務所、安曇野市、長野県造園建設業協会中信支部、中信木材センターはじめ多くの官公庁および企業に協力をいただきながら取り組んでいる。また、安曇野市との連携事業の一つとして、畦畔管理の省力化に向けて、アレロパシー効果があると言われている芝の導入が可能かどうか研究に取り組んで2年目になる。現在第二農場7号田の畦畔の一部に芝を植えているが、今後の成長に期待したい。今年の開放講座は、「ミニ浜垣づくり」や「樹木の剪定」を実施し、好評であった。進路については、進学は建築・土木関係の大学に2名、観光関係の大学に1名、建築・インテリア関係の大学校および専門学校に3名、造園関係の専門学校に1名、調理師関係の専門学校に1名、就職は土木造園関係に2名、製造業に5名、サービス業に1名の予定である。

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