物理班 放射線照射による工業製品への影響
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先生から放射線による工業製品の性質の変化の研究を薦めていただき,放射線の工業利用について調べてみるとタイヤの滑り止めや,電線の耐熱性の向上などに使われていることがわかり,放射線を身近に感じ興味を持ったので研究に取り組むことにした。放射線の基礎を理解し,放射線を照射するとこによって工業製品にどうのように作用するのか,また,その製品の性質がどのように変化するのかを研究する。
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地学班 岩石はいかにして柔らかくなるのか〜長谷鷹岩の蛇紋岩を通して〜
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私たちは伊那市長谷で産出する蛇紋岩と呼ばれる岩石を題材に研究を行った。蛇紋岩はいわゆる普通の岩石のイメージとは異なる性質を有していて,崩れやすく,熱伝導性が小さく,熱容量が大きい。また,岩石内部に複数の色の小岩石が点在している。蛇紋岩はマントル上部にあるかんらん岩というとても固い岩石が高圧・高温の条件で「熱水による作用」で変化すると説明される。この説明を素朴に解釈すれば,かんらん岩は個体の状態のままで岩石の構造が劇的に変化するというのは本当だろうか。かんらん岩と蛇紋岩は固さの面でも熱伝導性・熱容量の面でも大きく性質が異なる。この性質の大きな変化は,かんらん岩から蛇紋岩に変化する途中で,岩石がいったん“流体”になると考えれば説明がしやすい。現実には岩石がマグマになることはないので,個体のままであるが,岩石が“個体のままやわらかく”なれば説明できる。これが必ずしも矛盾した考えではないことをこの研究を通して述べる。この考え方により,蛇紋岩の普通の岩石とは違う性質の数々を説明できる。岩石は固いまま“やわらかく”なるのである。
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化学班 BZ反応における同心円の発生について
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何の研究を進めるのか調べていく中で,「BZ反応」というものがあると知った。いくつかの溶液を混ぜると色が変化したり模様が現れたりするらしく,とても興味深かったので,一度再現実験をしてみることにした。ビーカーとシャーレにおいてそれぞれ同じ溶液で行った。同じ溶液を使っているので反応は同じはずだが,見た目では全く違う反応が起きた。ビーカーでは溶液全体の色の周期的な変化が,シャーレでは同心円状の模様が見られた。色が変化することは最初から予想がついたが,シャーレで同心円が見られるのは想像以上に不思議なことで,この現象に興味を持った。よって,なぜ同心円という特有なものが発生するのかをテーマにして研究をすることにした。
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生物班 伊那谷のミミズと細菌の関係
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ミミズ(蚯蚓)の祖先は4億年前に現れたと言われ,普段見かける身近な動物であるが,生態や分類では未だ知られていないことが多い。土壌生物の中でもミミズはDarwin(1981)が長期に亘る観察を発表して以来最も研究がなされている動物群であり,土壌の物理性・化学性・生物性に大きな影響を及ぼす重要な土壌生物の一つであるといわれている(中村和徳・酒井兼二の論文による)。ミミズは環形動物門貧毛網に属する動物の総称であり,名称は「目見えず」からメメズになり,転じてミミズになったとも言われ,西日本にはメメズと呼ぶ地域がある。私たちは去年伊那北高校課題研究発表会でミミズと土壌の関係性についての発表を聞き,ミミズに関する様々な本を読み,ミミズの種類の多さや土壌に及ぼす影響に興味を持った。そして,ミミズの種類による違いを場所ごとの土壌細菌やミミズの腸内細菌に着目して調べようと思い立ち,今回の実験を始めることにした。そこで,私たちは,「ミミズの腸内細菌と土壌の細菌は異なっており特定の種の細菌が腸内で共生している」「種ごとにミミズが生息する土壌の違いはミミズの腸内細菌が関係している」という2つの仮説のもと,伊那谷のミミズの腸内細菌や土壌内細菌に焦点を置き調べた。
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生物班 プラナリアの再生に対する身近な薬品の影響
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私たちが怪我をしたとき,軽い怪我なら自ら治癒することができる。そのような創傷治癒の過程に興味を持ち,創傷治癒に対する治療薬の影響について研究してみたいと考えた。人間を被験者にするのは不可能なため,非常に再生能力が高いプラナリアを用いることにした。創傷の治癒に使われる身近な薬品が,プラナリアの創傷治癒や再生現象にどのような影響を与えるかを調べた。
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物理班 特定波長の抽出
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現在,電磁波というものは私たちの身の回りに使われている。その中で電波はテレビ,携帯電話,GPSなど多くのところで使われ,私たちの生活とは切り離すことができない存在となっている。また,宇宙解明のため電波を使ってブラックホールや星間物質の観測などが行われている。私たちは先生から電波天文学という分野があることを聞き興味を持った。JAXAを訪問する機会があり,そこで電波の観測について学んだ。そこで,電波を観測する際には,特定の周波数の電波を抽出する必要があることをお聞きし,私たちはこのことに興味を持った。しかし,電波を用いた実験は高校内でできるこものが少ない。そこで私たちは電波と波の性質という点で似ている音波について研究することとした。音波を解析することなく,複数の周波数の音波の中から特定の音波を観測することはできるのか,調べることを目的とした。
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生物班 上伊那地域のテントウムシ〜分子レベルで近縁関係を探る〜
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近年,DNAやたんぱく質などの配列比較から進化の道筋を探ることができるようになってきた。近縁の種間で,特定の遺伝子のDNAの塩基配列を調べたり,特定のたんぱく質のアミノ酸配列を調べると,種間で違いが見られる。これは,共通の祖先から分かれた後にそれぞれの種で突然変異が起こったことによるもので,このようなDNAやたんぱく質の変化を分子進化という。生物の授業で分子系統樹について勉強した。そこでは,原核生物はひとかたまりとされていたがrRNAの塩基配列の解析から細菌と古細菌に分けられたという興味深い話を聞いた。その系統関係を表したのが系統樹だった。そこで,私たちは今まで見た目ではわからなかった生物の系統関係について興味を持ち,身近で,多様な斑紋や食性を持つテントウムシの系統関係を分子系統樹を作成して調べることとした。テントウムシの形態・食性から推測した予想系統樹を作成し,分子系統樹と比較する。それによって,遺伝子レベルでしか見えなかった系統関係を探ることを目的とした。 |
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数学班 二人零和有限確定完全情報ゲーム
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数学的ゲームの必勝法を自分たちの力で,探し出そうというのが当初の目的であった。進めていく中で,二人零和有限確定完全情報ゲームというジャンルを見つけ,調べてみると運が介在しないという点で,非常に面白いものであった。我々はこのゲームの必勝法を探し出すということを研究テーマにした。二人零和有限確定完全情報ゲームの中で今研究ではN×Nで表される場において最後のマスに駒を置いたら勝ちというLAST
PIECE,N個の数字のうち,交互に任意の数ずつコールしていきNをコールしたら負けというNOT“N”,任意の数ある列に任意の数の駒があるとき,最後の駒をとったら勝ちという考察ゲームについて必勝法を探し出すことを研究の目的とした。 |
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物理班 分光法による成分分析
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太陽は核融合を自身で行うことによってエネルギーを作り出し,強い光を生み出している。この核融合によるエネルギーを利用して様々な研究,開発が行われている。私たちは先生に核融合についての話を聞き,核融合について興味を持った。そして那珂核融合発電研究所に伺い核融合発電について学び、研究所で核融合のシステムの一つである不純物ダイバータに関係する実験を行った。その中で不純物ダイバータは分光法によって成分分析ができるということを知り,自分たちでも成分分析をしたいと思い研究に至った。
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