令和元年度卒業式卒業生代表挨拶(2020年3月3日)

雪の少ない冬が過ぎ去り、日増しに暖かな春の風を感じるようになりました。
本日は、私たち三年生のためにこのように温かい卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。校長先生はじめ諸先生方には、異例の状況の中ご準備いただきましたこと、また、これまで温かく見守り続けて下さったことに深く感謝申し上げます。
三年前の四月五日、まぶしいほど青い空の下、緩やかに傾斜している学校への道を、まだ見ぬ世界に対する不安を抱きながら歩いていくと、見えてきたのは色とりどりのユニフォームを着た先輩方の行列でした。その中を通ると、四方八方から手の中に班活動の勧誘チラシが投げ込まれ、見知らぬ先輩から笑顔でハイタッチをされました。先輩方の輝いた姿は、私たちの胸を高校生活への期待でいっぱいにしました。
一年生の時は新鮮なことが多く、周りに圧倒されてばかりで、あっという間に月日が過ぎていきました。
二年生にあがると、高校生活にも慣れ、学校行事や班活動などを積極的に楽しめるようになりました。中でも一番思い出に残っているのは台湾への修学旅行です。台湾のお金での買い物、漢字と独特な匂いがあふれる街中の散策、九份や十份などの観光、台湾料理、現地高校生との交流など、そこでしかできない経験をたくさんすることができました。
三年生になると、卒業という言葉に目が留まるようになりました。何をするにも"高校生活最後の──"という言葉が付きまとい、私たちの気持ちを置き去りにして勝手に過ぎていく時間に言いようのない焦りを感じることが増えていきました。
そんな中で迎えたのが、最後の暁峰祭です。最高学年として様々なイベントで中心となり運営を進める中、準備を手伝ってくれたり周りで一緒に盛り上げてくれた一、二年生がいたからこそ、素晴らしい暁峰祭にすることができました。同級生同士ももちろんですが、学年の垣根を越えてつながれたあの瞬間は決して忘れません。
そしてその暁峰祭が終わると、三年生の教室が一気に受験という空気に覆われました。試験が近づくにつれ緊張感が高まる一方で、一生懸命努力している周りの人達に比べてなかなか勉強に集中できず成績が上がらない自分が嫌になり、いらだちが募りました。
次第に私は周りにいる家族や友人、先生を否定して自分を正当化しようとするようになりました。特に近い存在である親には何度も八つ当たりをしてしまいました。心配してかけてくれた言葉に腹が立ち、強い言葉をぶつけたこともありました。しかし、すぐに後悔しました。気付いてみれば、いつのまにか自分よりも小さくなった親の後ろ姿、たくさんの白髪としわ。私たちはどれほど心配と苦労をかけてしまったのでしょうか。親は、いくら八つ当たりをされても、朝早く勉強したい私たちに合わせて毎日早起きをしてお弁当を作ってくれました。移動時間を惜しむ私たちのために忙しい中送り迎えをしてくれました。センター試験当日、お弁当の中に手書きの応援メッセージを入れてくれました。「受験はつらいし、逃げ出したい。けれど、鬱陶しがられても、仕事が忙しくても、それでもいつも自分を支えてくれる人達がいるじゃないか。それでも本気になれないとしたら、私は馬鹿者だ。この人達のために今やるべき事をやって恩返しをするんだ。」そう決心して受験勉強に精進することができました。
幾度も季節が変わっていく中で、私たちは楽しいこともつらいこともたくさん経験しました。昨年度は創立百十周年の節目に立ち会い、今年度は大きな災害に見舞われました。今、世間を騒がせている新型肺炎がいつごろおさまるのか、誰にも予想ができません。様々なことがありながらも、時計の針は刻一刻と別れの時間へと近づいています。別れほど寂しいことはありません。ですが、別れほど私たちに大切なことを教えてくれる機会もまた、他にありません。別れがあるからこそ、出会えた人に自分がどれだけ支えられていたかを知り、感謝することができるのです。その人との楽しい思い出もつらい思い出も、人生の素敵な財産だと誇ることができるのです。そしてまた、新たに出会う人を大切にしたいと思うことができるのです。
今、母校を巣立つ前に、ここにお集まりの皆様、そして本来であればここにいらっしゃるはずだった全ての皆様に、改めて心からの感謝を伝えたいと思います。三年間の高校生活においてつらい時、挫折しそうな時、温かく支え、また優しい声を掛けていただき、ありがとうございました。そして、私たちは恵まれている存在だと気づかせていただきありがとうございました。これからも、どうか事あるごとに、厳しいご指導をよろしくお願いいたします。
卒業後、私たちはそれぞれの進路を歩みはじめ、今まで大勢の方々からいただいた御恩をお返しするために精進してまいります。今度は私たちが皆様を、地域を、社会を支えていきます。
最後に、皆様のご健康と長野吉田高校のますますのご発展を心より祈念しまして、卒業生代表のご挨拶とさせていただきます。

令和二年三月三日                  
長野県長野吉田高等学校 卒業生代表
田尻 みなみ

平成30年度卒業式答辞(2019年3月1日)

暖冬だったとはいえ、ここ長野の冬はやはり厳しく、それでもほほに当たる風に春のやわらかさを感じる様になりました。
本日は、私たち三年生のためにこのような素晴らしい卒業式を挙行していただき本当にありがとうございます。三年間をともに過ごした仲間とともに、この晴れの日を迎えることができたことを、とても嬉しく感じます。
これまで私たちを支えて下さった同窓会、PTAをはじめとするご来賓の皆様、温かく接していただいた地域の皆様、校長先生をはじめとする多くの先生方、そしてそばで支え続けてくれた家族に、この場を借りて感謝の言葉を申し上げます。
つい先日のように思い出される三年前の入学式。正門での盛大な歓迎、校内のあちこちには楽しいお祝いのメッセージ、式場では吹奏楽の先輩が華やかな演奏で私たちを迎えて下さいました。私たちは歓迎されていると感じ、吉田に入って良かった、ここでなら頑張れると感じた瞬間でした。
華やかなスタートを切った高校生活ですが、常に順調だった訳ではありません。例えば、高校生活において大きなウエイトを占めてきた班活動。ある程度できるつもりでいた自分でしたが、体は思うように動いてくれず、楽器は思うように演奏できません。なんなくこなす先輩が大きく見え、自分の不甲斐無さを感じる毎日でした。その中で仲間の存在は大きな支えでした。試合で勝つために、一つの作品を創り上げるために、同じ方向を向いて汗をかき、涙を流した時間は、この先の人生で大きな力になる宝物です。
日々の学習も大変でした。苦手な教科の課題を前に、途方に暮れたことが何度もあります。本格化した受験生としての生活は、辛く長いものでしたが、ここでも友達や先生方が私にとっての支えでした。数学が苦手だった私は、数研に通ってしつこく質問をして先生を困らせたり、同じ教室で勉強した友達の黙々と取り組む後姿に励まされたり、そんな友達とのお昼休憩に他愛のない話をして癒されたり。そうやって本当は孤独なはずの受験勉強も多くの人に支えられながら、頑張りぬくことができたと思っています。
私にとって生徒会活動はかけがえのないものとなりました。私が痛感したのは自分の思いが簡単には伝わらないということです。過去の繰り返しではなく、変わっていかなければならないのに、変わることには大きなストレスが伴います。全校の皆さんが楽しみにしている暁峰祭。思い入れが強ければ強いほど、その思いは当然ぶつかり合います。そのぶつかり合いの積み重ねこそが暁峰祭を創り上げていく過程であることを、皆さんもわかっているはずです。暁峰祭は本当に楽しいけれども本当に難しい。だからこそ、私たちの宝物となるのです。
今年は百十周年の節目の年でした。百十という数字は私にとって当初はぼんやりとしたものでしたが、盛大な式典の最中、誇らしげな同窓会の皆様の姿を目にして、歴史と伝統の長さを実感しました。また、油井さんのお話をお聞きして、果てしない宇宙の広がりに思いを馳せることもできました。長い歴史の流れの中の今この瞬間、広い宇宙のこの一点で出会うことができた私たちの縁というものを感じずにはいられません。
私たちは本当に縁に恵まれてきました。まずは今日一緒に卒業の日を迎える仲間達です。くだらないことでお腹を痛くするまで笑い合ったり、本当に苦しいときに寄り添ってくれたり、皆さんがいてくれたから、ここまで頑張ってこられました。本当にありがとう。
それから、先生方にも大変お世話になりました。授業や班活はもちろんのこと、進路や生徒会のことでも様々な場面で熱心にアドバイスをいただきました。私たちが困難に直面し、不安を抱えたとき、先生方のお言葉はどれほど頼もしく聞こえたか分かりません。
そして、一番近くで見守ってくれた家族。毎日のお弁当作りや朝・晩の送り迎え、受験の際は何も言わずに黙って背中を押してくれました。多くの迷惑をかけましたが、その支えのおかげで今日という日を迎えることができました。本当に心から感謝しています。
最後に後輩の皆さん、今まで本当にありがとう。私たちは班活動でも生徒会活動でも様々な場面で皆さんに支えられてきました。皆さんからの支えは心強いものでした。先日も受験に向かう私たちへのメッセージは本当に嬉しかったです。月並みですが、高校生活があっという間だったということが、今の私たちの偽りのない実感です。どうぞ悔いの残らない毎日にして下さい。
本日この場をもちまして、私たちは卒業を迎えます。私たちはこの場所で数多くの出会いに支えられて、今日まで過ごしてきました。これからはそれぞれの場所で誰かの支えになれるような人になりたいと思います。
最後になりますが、私たちの高校生活を支えて下さった全ての皆様に感謝申し上げ、長野吉田高校のさらなる発展を祈念し、答辞とさせていただきます

平成三十一年三月一日
長野県長野吉田高等学校 卒業生代表
倉崎 桜織