2017年度(平成29年度) 理数科 課題研究

研究生徒 理数科2年41名(男子20名、女子21名)
研究班数 8班

<研究テーマと内容>概要

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地学班 グラウンドコンディションと砕屑粒子の関係

 テニスコートの質に興味を持ち、コート表面のコンディションに関するデータ集めおよびコートの質の定量化を目指した。靴と地面の間に働く摩擦に着目し、コートの質を決める要素の一つである砂の性質を調べた。砂を採取し、双眼実体顕微鏡で粒子の形の定量化と砂を大きさ別に4段階にふるい分けを行なった。また、10段階の重りを入れた靴を砂の上でばねばかりで引き、荷重に対する引く力を測定し、靴と地面の間に働く摩擦係数を計算し求めた。これらのことから、砂粒の大きさ・形と摩擦の間には“小さく丸い砂粒ほど摩擦が小さく、大きくいびつな砂粒ほど摩擦が大きい”という関係が見出された。伊那北高校のテニスコートは比較的丸い形状の砂岩・軽石・火山岩が多いため滑りやすい。
物理班 いかさまサイコロ ~サイコロの重心と特定の目が出る確率の定量的関係~

 時代劇で見られるサイコロを使った賭け事で、出る目を操作するいかさまは再現できるのか、サイコロの出る目の確立が重心に関係があると予想し、定量的に調査・実験を行った。まず、木の立方体を用意し、それらに異なる深さの穴をあけて鉛を入れ、立方体の重心を変えていった。サイコロを籠の中に入れ、300回ずつ降り、確立を出した。その結果、重心から遠い面の出る確率に正の相関関係があった。しかし、重心に近い面の出る確率は低くなるが、重心とその悪率には、強い負の相関関係はなかった。このことより、その他の面も重心から遠い面の出る確率に影響を及ぼしていると考えられる。
 結論:いかさまサイコロは、作れる!
化学班 地層が河川水に及ぼす影響についての研究

 本校が位置する伊那谷には多種多様な岩石・地層が地表に露出している。そこで、河川が通過した岩石層が水質にどれほどの影響を及ぼしているかを研究した。本研究では、水質への影響について三峰川から黒川水系の8地点で採水し、Cl-・Ca2+・Mg2+・Feの4種類について分析した。Ca2+とMg2+は採水地点ごとに特徴的な含有量を示し、特に蛇紋岩帯を通過した水は異常なMg2+濃度の高さを示した。これは、明らかに地層が水質に影響を及ぼしていることを示している。Ca2+も同様に石灰岩層を通過した水は濃度が上昇していた。しかし、Cl-・Feでは変動はあまり見られなかった。Cl-は岩石の含有量の少なさ、Feでは岩石中に主に含まれるFe化合物の溶解度の低さが原因だと考えられる。以上のことから水中のMg濃度やCa濃度を分析すると、河川が流れてきた地層の岩石成分を推定することができると考える。
化学班 酸化チタンを用いた人口光合成の研究

 光合成を化学の力で再現できないかと考え、人口光合成に興味を持ち、暗反応の再現・ギ酸の生成を目標に研究を進めた。実験を行う上で必要な光触媒となる、酸化チタン板と違う電極板をそれぞれ繋いで、そこに赤外線を当て人口光合成の働きで、ギ酸が発生するかpHに注目して調べた。実験結果から、ギ酸の他にも炭化水素が生成されたと考える。また、電極版の面積を拡大することにより、pHがより低くなり、ギ酸の生成が促進されることもわかった。
生物班 びっくり根粒菌 ~根粒共生による土壌への影響~

 「マメ科の植物は古くから土地を肥沃にする」といわれており、マメ科植物と根粒共生が土壌や他の植物に影響を与えるか研究を行った。根粒菌が土壌に与える影響を調べるために、根粒菌を接種・非接種した植物を栽培した。さらに、土壌中の微生物による影響を調べるために、滅菌・非滅菌の土を用意した。実験の結果滅菌した土で植物の成長が見られた。また、滅菌処理を行わなかった土においては、根粒菌共生が行われたものほど成長した。以上のことから肥沃な土壌を滅菌することが最良であり、かつ同じ土壌に植え続ける場合は、根粒菌接種が有効である。また、土壌が貧弱な場合も根粒菌接種が有効であると考える。
生物班 上伊那産メダカの性転換と系統

 近年、メダカの生息数が減少し、絶滅危惧種に指定されており、大変貴重である。そのようなメダカが上伊那に生息していることと、メダカが性転換することを聞き興味を持ち研究した。メダカの形状とDmy遺伝子で雄雌の鑑定をし、性転換の有無を調べた。結果は、21匹のメスのうち3匹が性転換をした。また、雌雄別に水槽に入れ、48日間飼育する実験も行った。しかし、性転換はしなかった。このことから、性転換は短期間で起こるものではないと考えられる。また、今回実験に使用したメダカの系統は、東日本Ⅰ型と東日本Ⅱ型の2種類が混在していた。今後、個体数を増やすとともに、長期間の飼育が必要となる。
数学班 折学

 身近にある物を題材に数学を考えるというテーマで「origamics」という折り紙で方程式の解を再現できると知り、研究をした。本研究では、すでに証明されている一次・二次・三次方程式の折り紙上での解放を理解し、新しい方程式の解法を発見することを目標にした。研究の結果、「平方根の求め方」や「異なる2つの有理数解をもつ二次方程式」、「異なる2つの実数解をもつ二次方程式の解法」を発見した。
物理班 綱引き必勝法

 伊那北高校にはクラスマッチや文化祭で綱引きがある。綱引きに勝つには、どのような引き方をすれば、綱をより強く引くことができるのか疑問に思ったため、この研究を行った。綱を引く「姿勢・体を傾ける角度・靴の摩擦力」について調べる実験を行い、より強く引くことができる姿勢・身体を傾ける角度・滑りにくい靴を探し出した。研究の結果、靴底に凹凸の多いランニングシューズなどの静止摩擦係数が大きい靴を使用し、体の重心で綱を持ち、その位置での体を最大まで傾けると大きな力で綱を引くことができることがわかった。また、身体を最大の角度まで傾けた時に姿勢を真っ直ぐに保つことができる筋力をつける必要もあることがわかった。