長野県穂高商業高等学校
〒399-8303 長野県安曇野市穂高6839番地
TEL:0263-82-2162

校長挨拶

 “ 商業って、どんな勉強? ”

 本校は大正3年に学校組合立南安北部農学校として創設され幾多の変遷を経て、昭和46年に現在の長野県穂高商業高等学校となり、110周年を超える伝統ある地域に根差した中信地区の県立高校では唯一の商業高校です。

 あるグループ会議の場で「商業高校でどのような学習をしているかご存じですか?」という質問をしてみました。その回答として、「資格取得するために検定を頑張っている」や「簿記会計やパソコンの学習をしている」中には、「そろばんをやっている」などがありました。それは、確かに、資格取得指導もしていますし、簿記やパソコンを活用した学習も実施しております。しかし、そろばん学習は、平成初期から選択制になり、平成後期から指導要領から取り除かれています。そして、何より認知されていないと感じたのは、地域と連携した学習です。本校は、「ビジネスを探究する学校」として2年前からスタートしております。その「ビジネスを探究する」とは、どのような学習なのでしょうか?これまでの学習方法は、先生が40人程度の生徒相手に黒板に必要な事を板書し、一斉に授業を展開していました。生徒たちは、皆同じように、科目単位修得や検定に合格するために類似問題を何度も解いて、そのスキルを高めてきました。いわゆる教員主導型の授業展開で、生徒は先生の指導に従って学習するスタイルでした。

 しかし、これからの時代は、先生主導型の授業では、社会に出たとしても指示待ち人間になってしまうのではないでしょうか。生徒が主体的に動ける力を身に付けないと多様に変化する社会で活躍する人材が育成できないと考えています。そのためには、ビジネスを探究する力が必要となってきます。「何故この簿記の知識・能力が社会で必要とされているのか。」「パソコン学習は、将来どのように役に立ってくるのか。」「自分が社会人になった時、どのようなことに貢献できるのか。」などを自ら考え、生徒自身でこの勉強をやりたい・この学習は将来絶対必要だ。というようなことを理解した上で、学ばなければならないと思っています。本校はビジネスを探究する学校となるために、その土台作りとして、県下で先駆けて「ケースメソッド教育」を取り入れました。今回の安曇野文化第五十五号では、この「ケースメソッド教育」を実施することによって、どのような力が身につくのかに説明させていただこうと思います。

 「ケースメソッド教育」とは、教職員が授業単元に合わせたケース教材や実際に起きた具体的な事例を取り上げて討議を行うことで、さまざまな失敗例や最善策を疑似体験することができます。多面的に様々な登場人物になりきって、自分だったらどうするかを考える教育の手法となります。この疑似体験によって、問題への分析力や洞察力が養われるだけでなく、自分で考えて決断する力が身につき、問題に対しても優先順位をつけ、解決へと導くこともできるようになるのです。生徒が導き出した意見に間違いはなく、すべてが正解です。また、自分の意見だけではなく、他者の意見を聴くことによって、他者を理解する力も身に付き、協働的に問題解決に結びつけることができます。「ケースメソッド教育」は、主体的・対話的に深い学びが実現できる今後社会で必要とされる能力の基礎ができる教育法であるといえます。

 実際にケースメソッド教育を受けた1年生にアンケートを取ったところ、図にも示されているようにビジネスで必要とされている知識と能力が身についていると生徒自身で感じているようです。この結果から、ビジネスを探究する学校として、1年生での土台作りはしっかりできたのではないかと確信しています。今後は、1年生で培った主体的に行動できる力や多面的に考える力を礎に2年生でPBL学習として実際に企業に出向いての課題解決、3年生では地域人教育として、生徒自ら地域の課題を発見し、地域の活性化に向けて取り組ませていきたいと考えております。



 最後になりますが、本校の更なる発展を目指し、地域に根ざした学校づくりを進めてまいりたいと思っております。今後ともご理解ご協力、よろしくお願いいたします。


令和8年4月
長野県穂高商業高等学校 校長 三宅 浩一