「全人の像」について

全人の像

 平成19年11月の末に,正門を入って突き当たり,職員玄関の左側に,御影石の彫刻作品が設置されました。本校の前身,小県蚕業高校時代の卒業生,小池郁男さんの作品で,作者が本校に寄贈してくれたものです。

 作品の受け取り,運搬,設置作業などすべて同窓会の仕事として行われました。同窓生の大きな力で素晴らしい作品を贈っていただきました。

 作者の小池さんは,昭和29 年(1954 年)に本校を卒業し,東京藝術大学の美術学部に進学しました。大学を卒業後,愛知県立芸術大学の講師から助教授,教授を歴任され多くの学生たちを教え,また自らも創作を続けて多数の賞を受賞しました。平成13 年(2001)に退職し愛知県立芸術大学の名誉教授となりましたが,現在も精力的に創作活動を続けています。本校創立百周年の記念の門標も小池さんの作品です。

 小池さんはこの像について「知徳体という概念を造形化する試み」,「教育の理念をもとに『心』という文字を造形化することにした。中心に位置する球体は人の「知」を表し,これを支える動静のある左の石は「徳」,右は「体」を表現している。」とその制作意図を説明しています。

 徳と体の二つに支えられて知がある,知の基礎には徳と体がある,そのようにして知徳体の三つがバランスよくつりあっているのが人の心である,ということです。

 私たちの心は,命と徳,そうして知恵からつくられています。知恵は徳と命に支えられています。徳は行動において優れていることですから,そこには自分以外の人がいます。命は自分のものではありません。私の命は私がつくったものではない。誰もつくることはできません。私たちの命はあたえられているものです。知の基盤,知を最も深いところで支えるのはいのちです。そうしてその命は,この作品が示すようにしっかりした台座のうえにある。地上の作品と作品をのせた台座は,さらに作品よりも大きな土中の頑丈な基礎の上に乗っています。

 この像はその土台まで含めて考えれば,私たちの命が,多くの人に支えられている,逆にまた私たちの命も他人の命を支えている,ということの比喩であると考えられるのではないでしょうか。 (第25代校長 市原潤)





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