信州大学との連携による物理サイエンスプログラムの報告


■ 物理サイエンスプログラム「おもしろ物理実験室」が行われました、詳細は以下のとおりです。

講 師 信州大学理学部物理科学科 武田三男教授、竹下徹教授、天児寧助教授
テーマ 「おもしろ物理実験室」
場 所 信州大学理学部
松本市旭3−1−1
期 日 8月23日(土) 9:00〜14:30
対 象 2学年SSH2講座選択者24名
概 要

1.「音波の伝わり方」
音波の伝わり方を実験を通して学習した。超音波スピーカーから発信された40kHzの超音波を1mほど離れた所に設置したレシーバーで受信。スピーカーとレシーバーの中間においたスリヅト、反射板や回折格子の影響ををどのように受けるかをオシロスコープなどを用いて観測・測定した。得られた測定結果をもとに、波動に特有な反射、回折、干渉などの現象を理解した。

2.「光の性質(偏光とスペクトル)」
偏光板を用いて光が横波であることを実際に確かめ理解した。電球からの光をレンズを用いて偏光板に導き、偏光板を透過した光の強度を半導体光検出器により測定。偏光板を2枚おいて、片方の角度を変えながら透過強度の角度依存性をしらべ、また、3枚の偏光板をシリーズに配置し、外側の2枚の偏光方向を垂直にセットして真ん中においた3枚目の偏光板の角度を変えて透過光強度を測定した。得られたデーターをもとに光が横波であることを理解した。
セロハンテープと偏光板を組み合わせて色の変わるステンドグラスを作りなぜ色が変化するのかを考えた。また、水銀灯やナトリウムランプからの原子発光スペクトルを分光計を用いて実際に見てみた。これらから、光のスペクトルを実感した。

3.「ガンマー線の物質との相互作用」
種々の放射性同位元素からでるガンマー線のエネルギーを光電効果とコンプトン効果を利用して測定した。荷電粒子のエネルギー測定の可能なシンチレーターと光電子増倍管をもちいてエネルギースペクトルを測定。これを種々の放射性同位元素について行い、そのエネルギースペクトルの違いから、光電効果とコンプトン効果を観測し理解を深めた。

4.「ステンレスの磁性」
体心立方構造と面心立方構造のステンレスを、
(1)高周波誘導炉を用いて合成し、
(2)エックス線回折装置により構造の違いを確認するとともに、
(3)振動型磁力計により磁化の外部磁場特性を測定した。
(1)では高周波磁場によつて渦電流が生じること、金属の電気低抗とジュール熟の概念を学んだ。(2)では波の性質である、ブラヅグの反射条件についての理解を深めた。(3)では(1)と同様に電磁誘導の原理を学ぶとともに磁石ついての理解を深めた。

講師のお話 高校生でも理解できるように、分かりやすく講義をし、高等学校ではできない面白い実験をおこなった。よく考えた上での質問が出て、また、積極的な実験への取り組みがみられ、有意義な時間を過ごせた。
 

 


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