信州大学によるSSH連携講座
「符号理論」の報告


■ 数学の連携講座「符号理論」 が行われました。詳細は以下のとおりです。

講 師 信州大学 理学部 数理・自然情報科学科
助教授  花木章秀 先生
テーマ 符号理論
場 所 長野県諏訪清陵高等学校 数学4番教室
期 日 平成18年2月7日(火) 8:30〜10:45
参加者 2年生SSH2課程(20名)
概 要

1.符号理論とは何か
 情報を送るときに、伝達の状況、ノイズ等により正しく伝わらないことがある。送られてきた情報が正しく伝わってきているのか、あるいはどこか間違って送られてきているのか、それすらわからない状況でも、ある程度正確に情報を受け取る手段として考えられているものが誤り訂正符号である。実際に書籍に使われているISBNコードを使用し、一ヶ所間違えて送っても正しく受け取られることをパソコンで確かめることから始めた。
2.0と1だけの数の世界
 コンピュータの中では0と1だけである。普段用いている10進法の数と、0と1の2進法の数との関係を計算を交えながら考えた。更に0と1の集合F2に演算(加法・乗法)を定義(特に異なるのは1+1=0,減法は加法と同じ、除法はほとんど意味がない。)し、F2におけるベクトルと行列を考えた。
3.誤り訂正符号の例…ハミング符号
 まず、F2における4次元ベクトルを送るときに用いられるハミング符号を取り上げる。1カ所誤って送られた場合には誤り訂正がされること、正しく送られた場合には正しく送られることを、実際に体験した。
 ハミング符号で何故、誤り訂正が可能なのかについて、送られる過程を検証し、理解した。
4.一般の符号とその限界
 他の符号として、惑星探査船ボイジャーの情報送信に使われた二元ゴーレイ符号は3カ所の誤りに対応できる。このような誤り訂正符号を考えるとき、どんな符号が「良い符号」なのかについて説明があった。「良い符号」とは情報量の増加が少なく、誤り訂正能力が大きい符号である。ハミング符号と二元ゴーレイ符号は完全符号と呼ばれ、ある意味最も優れた符号の例である事を学んだ。
 コンピュータや身近な携帯電話に用いられている数学であったので、生徒の関心を引き、また最近の通常授業において学習している「行列」に係る内容のものだけに、生徒の取り組みはよく、好評であった。高校数学では扱わない内容であるが、発展的内容として授業でも取り上げてみたい内容である。

生徒の様子  実際に誤りが訂正されて正しく情報が伝わったり、その仕組みを理解したりすると、感心・納得する様子がうかがえた。
 

 

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