清陵サイエンスフォーラム21
〜未来をひらく知の誘い〜
生徒の知的探究心を喚起、自然科学の魅力を満喫させ、未来への夢や希望を大きく育むことを目指し、全国各地で活躍するトップクラスの研究者・技術者を招いて講演会やシンポジウム等を開催します。  


第18回 清陵サイエンスフォーラム
国際宇宙シンポジウム
〜宇宙からの贈り物〜
日 時 平成17年12月27日(火) 16時〜
会 場 本校 会議室
講 師
(紹介)
Dr. SCOTT MESSENGER …NASA ジョンソン宇宙センター
(1997年ワシントン大学で物理学の博士号を取得。2003年からNASAに勤務されています。ご専門は、宇宙化学、宇宙(天文)物理学です。)
中村圭子 先生…NASA ジョンソン宇宙センター
(1996年神戸大学卒業後、ドイツ国立マルティンルター大学大学院に留学。2002年に神戸大学大学院にて理学博士号を取得。2002年からNASAに勤務されています。地球外物質研究探査科学部門を担当。南極点に立った最初の日本人女性でもあります。)
対 象 1,2年生希望者
一般
内 容 国際宇宙シンポジウム(英語にて)…スコット・メッセンジャー先生
1.NASAの熱気
 私は現在、Johnson宇宙センターで仕事をしている。最近NASAは今までのスペースシャトルステーション打ち上げから方向転換をし、有人ロケットの開発を目指すようになった。まだ、議論の余地はあるものの、まず月へ、続いて火星へ人を送り込もうという計画が着々と進められており、今NASAは熱気に溢れたエキサイティングな場所だと言える。
2.研究
 原始太陽系・惑星を形成するために必要な材料物質や超新星から吹き飛ばされてくる超微小物質の同位体組成などから、宇宙の成り立ちについてのシナリオを構築する研究を行っている。人を惑星に送るのは簡単ではないので、小惑星や彗星からの塵や隕石を回収して分析を行っている。特に塵は太陽系が形成されて以来の元のままの原始的な状態であるので、調査分析に有効である。電子顕微鏡で塵を引き延ばして観るという非常に小さい世界でありながら、宇宙を作り上げていくことができる。太陽系以外の物質をごく少量でも見つけて、自分の手に持っていると思うととてもエキサイティングである。
国際宇宙シンポジウム(地球外物質)…中村圭子先生
1.研究者になるまで
 必ずしも順調満風ではなかった、NASAまでの道のり。挫折や失敗も経験した。阪神大震災を契機に自分の人生を見つめ直すことになる。なぜ、地球には生命が存在するのか。人は何故簡単に死んでしまうのか…自分の中の”なぜ”を解き明かしたい。自分の限界に挑戦したい。そんな気持ちで研究者への道を切り開いていった。
2.研究
 NASAジョンソン宇宙センターで宇宙塵に含まれている有機物を研究している。宇宙塵一粒一粒は、目で見ることすらできない小さい物質だが、近年飛躍的に技術開発が進んでいるナノテクノロジーを駆使すると、宇宙塵中のナノ物質を分析することができるようになった。宇宙塵は宇宙から降り注ぎ、地球上に蓄積されているわけだから、宇宙塵に含まれていた有機物が、太古の昔の原始地球での生命発生に何らかの役割を果たしたのかもしれないと思われる。今まで論理でしかなかった宇宙の真理を、確実に信頼のおけるデータと研究成果に基づいて、考察し、新たな「事実」を公開してゆくことが、研究者としての私の仕事だと思っている。この地球で起こった生命誕生という奇跡が、ただの偶然ではなく宇宙ではごくありふれた現象であることを祈りつつ、毎日、ワクワクしながら研究に取り組んでいる。
生徒の感想  ちょっと難しい話であったが、二人の先生方は今の生活に満足しているという感じが伝わってきた。先生方はほんとに生き生きしていて、自分もあんな風になれたらいいなと思った。

 元々、興味がある分野、天文気象部としてはまさに専門ともいえる分野の研究者にお話を聞くことができて、本当によかった。先生方の姿勢や考え方は手本にすべきことがいくつもあった。

 塵を取っているのは人工衛星だけだと思っていたので、南極まで行って隕石を取ったりコンコードを飛ばして取っていると知り、びっくりした。成分の分析はnやμの単位で一個一個調べるとは気が遠くなるような作業だと思った。だからこそ発見の喜びは大きいのだろう。NASAの設備は素晴らしいと思った。

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