十二天の地形・地質


1・十二天の森は大昔の扇状地

森の土を掘っていくと、およそ1メートルから下は丸い石の層になっている。この石は中田切川の崖でも見られるように、50メートル以上の厚さで堆積している。

山をつくっている岩がくずれて、川の水に運ばれて平地に出てくると、運搬作用が弱くなってそこへ堆積します。長い年月の間に何回も発生した土石流は、石や砂をためて扇状地を作りました。上流の角ばった石は運ばれる間に削られて丸くなります。また、運ばれてきた石はきまった向きに傾いて堆積します。ここで石の向きを調べると、昔の川が東北東に向かって流れていること示している事から、十二天の森の地形は中田切川が作った扇状地と考えることが出来ます。扇状地ができ水が流れなくなると、面上に火山灰などがたまります。十二天の森にたまっている木曽御岳の火山灰は、扇状地の形成がおよそ3万年前に終わったことを物語っている

2・断層でくいちがった十二天の森

森の東側には北西に伸びる崖があって、そこから東が一段低くなります。この崖は古くから川の浸食地形と考えられてきました。しかし近年では断層でできたものと言われるようになり、最近その証拠になる場所も発見されました。この断層は約2万年前の火山灰(姶良Tn火山灰)が積もってから後にできたことを示しており、このような比較的新しい時代にできた断層は活断層と呼ばれています。この断層ができたときにはかなり大きな地震が発生した事でしょう。