<県民とともにつくる学校をめざして>
 学校近隣の皆様、地元稲荷山の皆様、また広く県民の皆様のご支援をいただき、いよいよ改築に向けた工事がスタートします。これまでのご協力に深く感謝を申し上げるとともに、これからも更なるご支援をお願いいたします。
さて、本年度は第1期工事として、体育館の建設が始まります。この体育館は本校の願いでもある「開かれた学校」となるために地域への開放も考えています。また、私たちは新しい学校をすべての県民の皆様といっしょにつくり上げる学校にしたいとも考えています。その意味で、地域の皆様や県民の皆様の声に耳を傾け、共に学校づくりに取り組んでいくつもりです。そして、すべての県民の皆様の期待の声に後押しされて、新稲荷山養護学校が開校する日を迎えられることを願っています。
                       稲荷山養護学校校長 韮澤久人

<「県民益」としての稲荷山養護学校>
 いよいよ新・稲荷山養護学校が姿を現し始めます。私たちPTAは、新たな歴史に向け、諸先輩が築き上げてこられた伝統と、これからの新しい息吹を化学反応させ、今までにない鼓動を天地に響かせたいと思っております。今、一番申し上げたいことは、知事をはじめ県関係の皆様、地元の皆様、そして県民の皆様に心から御礼を申し上げます。皆様の暖かな情熱ある眼差しの先に、わが子たちがいることを誇りに思っております。
新・稲荷山養護学校が取り組む、あらたなコンセプトとして「県民益」をあげます。一方的な受益者ではなく、県民の皆様に何かをもたらしたい。新・稲荷山養護学校に集う子供たち、教職員の皆様、そしてPTAの存在そのものが「県民益」に。そうありたいと思います。私たち自らが「愛情発信基地」となれるのなら。あまねくすべての県民の皆様にご理解いただけるものと思います。「新天地」のごとく現れるその存在を、一つの舞台として。
「愛があるところに自然と人があつまる」ように・・・・・・
                    平成16年度PTA会長 小布施 広文

<森とまちと人々をつなぐ木造の養護学校>
 新しい稲荷山養護学校は、柱・梁の構造材や床や壁の内外装に長野県産の間伐材をふんだんに使った木のぬくもりのある学校です。3年間の工事全体で使う木材量は3,700mに及び、標準的な柱に換算して約85,000本、200haの山林の間伐を行うことになります。85,000本というと大変な数に思えるかもしれませんが、県土の78%の森林を持つ長野県で緊急に間伐が必要とされている森林面積79,000haには遠く及びません。試算によると、緊急に必要な間伐が行われその木が建築材として用いられると、新稲荷山養護学校規模の木造建築を毎年約80校つくり続けることが出来ます。
 森林は再生産可能な資源である木材の産出だけでなく、空気の浄化、水源地涵養、災害の防止、地球温暖化防止など多くの役割を担っています。適切な間伐や植林によって人工林を計画的に整備し、産出された木材を建築や土木などに用いて炭素を長く固定することは、私たちの身近な環境のみならず地球全体の環境保全にもつながり、それは森林県・信州らしい地域産業の振興、地域固有の景観・文化の育成・継承につながります。様々な場面で人々が地域のよさを再認識する機会ともなります。
 工事期間に在学する子供たちは身近な山の木から学校がつくられるという過程を体験します。木の香り、感触、温かさなどの心地よさを享受するだけでなく、何よりも大切なことは、木造の養護学校で学び育つ子供たちが未来にわたって夢をもって生きる力を養える、そんな発展性のある学校をつくることです。
 建物本体のほか、外部デッキ、舗装、花壇などの外構部材、遊具、さらには机や椅子をはじめとした家具・備品類などにも県産材を最大限に用いることを提案しています。