鼎談深志 (ていだんふかし)

 

鼎談(ていだん)  (鼎かなえの足のように)三人が向かい合って話し合うこと。

住民と生徒、教職員の三者が顔を合わせて、学校の諸問題を話し合う組織

地域フォーラム 「鼎談深志(ていだんふかし)」 が発足しました。


きっかけ

実行委員長を務めることになった生徒は、應援團管理委員會に所属しており、教務室に「應援團の声がうるさい」という内容のクレームが来ていることを顧問の先生にうかがった。
地域の方から要望を受け、應援團管理委員會では声出しを行う場所を変えることにした。
「なぜ地域の方に私たちの活動を理解してもらえないのか」と疑問に思い、活動が制限されてしまう現状をなんとかしたいと考えていた。


本校の現状

地域からどんな苦情が来ているのか、平成28年10月、教頭先生にお話を伺った。内容は次のようなものだった。
地域からのクレームは学校から出る音、自転車等の交通マナー、普段の生徒の生活態度、保護者の送迎車の駐車について等、多くの分野にわたっている。
クレームは少なくとも10年以上前から学校に寄せられている。
この数年間でクレームの数は増えている。
音に関するクレームは、男女バレーボール・バスケットボール部、ソフトテニス部、弓道部、吹奏楽部、軽音楽部、應援團管理委員會に対するものがある。


意見交換会という方法で実態を調査しようとした理由

実態を調べるためには地域の方と対面し意見を交換する場が必要だと考えた。知りたかったことは以下の3点である。
(a) 「深志高校から出る音」をうるさいと思っているのは実際にはどのくらいの人数か。
(b) また、その他の一般の人は「深志高校から出る音」をどう思っているのか。
(c) 実際には、どんな音に対してどの程度の不快感を持っているのか。


学校との合意形成について

意見交換会の開催を実現するため、まず、先生方に理解していただいた。
校長先生、教頭先生に意見交換会開催の理由を説明し実現の方向について相談した。

この際懸念されたのは以下の3点。

(a) 要望(クレーム)を寄せる人が、このことで地域から疎外されないか。
(b) この取り組みをきっかけに、今まで音を気にしていなかった人も意識するようになってしまうのではないか。また、他の問題に拡大しないか。
(c) 強い要望を持つ住民が多数参加し、収拾がつかなくなってしまうのではないか。


組織について

「音を出す団体」(実際にクレームを受けたことのある部活動、委員会)の責任者、生徒会長、合同協議会長、新聞委員長をメンバーとした意見交換会の実行委員会を立ち上げた。
主管は放送委員会制作班とした。
実行委員長、生徒会長、合同協議会長、新聞委員長の4人が中心となり事前に話し合って原案を作り、実行委員会を開いてその原案を討議する形で活動を進めた。


地域の協力体制依頼

松本深志高校周辺4地区の町会長に意見交換会への参加をお願いした。
蟻ヶ崎北町会長さん、蟻ヶ崎深志ヶ丘町会長さん、沢村町会長さんに協力を仰いだ。
第1回意見交換会では、実行委員長の勘違いで松本深志高校に面した町会ではないと考えていたため、蟻ヶ崎東・西町会の会長にはお願いに行っていない。
また、白金町会については、町会長さんより、「うちの町会にはクレームを言う人はいないので結構だ」とのご意見をいただき、協力は仰げなかった。


実行委員会の広報活動

意見交換会の開催を知らせるチラシ155部を、蟻ヶ崎北、蟻ヶ崎深志ヶ丘、沢村の3町会に回覧板を通じ配布していただいた。
配布数は、蟻ヶ崎北60部、蟻ヶ崎深志ヶ丘30部、沢村65部だった。

※ 沢村町会は深志高校隣接地域のみで65部。実態調査のため、チラシを配布した訪問時に聞き取り調査を行った。

そのため、松本深志高校隣接140軒に限り、実行委員が直接住民の皆さんに面接し、意見交換会の開催を知らせた。
訪問による質問事項を用意しない聞き取り調査でお話をうかがった。
お話をうかがうことができたのは80軒。
「深志高校から出る音」に好意的で「特に意見なし」という声がほとんどであり、音に対する改善を求める意見は全体のおよそ1割だった。



第1回意見交換会の開催を知らせるチラシ

直接訪問でいただいたご意見

吹奏楽部の練習で、休日の朝から吹いているのに、10:00くらいに聞こえなくなる。時間を考え直してほしい。
吹奏楽部の音が、夏に窓を開けるとうるさくて寝ていられない。
軟式テニスの打音が夜勤明けだと、うるさくて眠れないことがある。
深志高校はずっとあり、それを知った上で住んでいる。
少しうるさいこともあるが、何もいうことはない。
自分たちで考えて欲しい。
この企画はよい。
高齢化などで町内組織はあまり動かない。
生徒と顔見知りになって、フランクに話すことができるようになればよい。
君達が思っている以上に、そばに住む人は学校があることで音が出るのを分かっている。
生徒に楽しんで欲しいからこそ意見を言う。
「音」だけの問題というよりも、校外での生徒の「行動音」を我慢しているのに、それも我慢しなければならないのか、と思う。
地域の中の学校という面で、全体的に取り組まなければならない問題だと思う。


本校に隣接するお宅140軒
訪問聞き取り結果


平成28年11月20日 第1回意見交換会

会議でいただいたご意見

5年ほど前は、吹奏楽部が個々に自主練習をしていてうるさかった。学校に何とかして欲しいと伝えたところ、一昨年くらいには吹奏楽部が廃部になったかと思うほど静かになった。
テニスコートのボールの音が反響して聞こえるが、部活のレベルアップのためには仕方がない。
学校の近くに住んでいるのならある程度の音が聞こえるのは当然なので気にならない。
近くに学校があることは楽しい。練習の音を楽しんで聞いている。
應援團管理委員會の太鼓の消音対策を見て、太鼓が壊れたかと思った。音を気にして思い切り練習ができないのはかわいそう。生徒に同情した。
自分の名前を言わずに(匿名で)学校に意見する人のことは気にしなくてもいいのではないか。
住民は、生徒や学校の対策や、どうして音が出るのかを知らない。生徒からコンタクトを取り、色々な人に学校の状況を知ってもらうべき。知れば理解してくれる人も増えるのではないか。
学校の近隣の人との笑いを交えた話し合いが必要。挨拶や世間話をすれば、生徒と良い付き合いができるのではないか。


第1回意見交換会後の取り組み

意見交換会の成果をまとめた報告書を配布。回覧板でも配布していただき、学校に隣接する140軒には面接してお渡しした。
男女バレーボール部が松本深志高校を会場にした大会について自主的にお知らせした。
新聞委員会が発行する「深志高校新聞」を蟻ヶ崎東・西町内を含めて215部回覧板を通じて配布した。
学校に隣接する140軒のお宅に「深志高校から出る音」がどのように聞こえるかを調査するアンケートを実施した。


第2回意見交換会の開催を知らせるチラシ

アンケート用紙

アンケート結果 
 「松本深志高校から出る音はどのように聞こえるか」


本校の東側(体育館・講堂側) 15件 


本校の西側(グラウンド側) 6件


松本深志高校の南側(一棟校舎) 29件



松本深志高校の北側(テニスコート・弓道場側) 16件


アンケートに記述されたご意見

特に朝、サッカー部の練習板にボールを蹴り込む音がうるさい。 (西側)
アンケートの項目にはないが、野球部の練習の音が気になる。 (北側)
応援練習で声を出す方向を変えてはどうか。 (南側)
学校の音が聞こえるのは仕方がない。 (東側)
大通りの車の音があるので学校の音は気にならない。 (西側)
学校の音を聞くのは楽しくかえって元気づけられるが、最近聞こえなくなって寂しい。 (東側/南側)
住民の立場やその時の体調によって音の感じ方は違う。 (北側)
単純に音が気になるかどうかという問題ではない。 (北側)


平成29年3月19日 第2回意見交換会

会議でいただいたご意見

吹奏楽部からの提案

今回の意見交換会では、吹奏楽部が今まで自粛していた「屋外での音出し」を再開するため、練習室の外、図書館横、中庭の3箇所で音を出し、音の大きさや響き方を会議に参加した地域の方に確認していただいた。
吹奏楽部では、この実験と4月中のお知らせをもって、4月下旬から屋外での練習を再開し、一定期間をおいてから地域の皆さんにご意見をうかがい、更に続けるか否かを考えたいとした。


吹奏楽部の実地実験についてのご意見

音の大きさそのものよりも、音が気になるかどうかという意識の問題ではないか。
中庭のように建物と建物の間で練習すれば音は全く気にならなかった。
道路の音があるため楽器の音は気にならなかった。
音の大きさは室内で練習している時と同じように聞こえた。
あの程度の音の大きさならば屋外での音出しを遠慮することはないと思う。
狭い室内で多くの人が練習をしている現状では、自分が出した音を聞くことができずにかわいそうだ。
消音のことは気にせず、きれいな音を響かせて欲しい。


吹奏楽の実験以外のご意見

学生と地域の集まりは今後もあった方が良いと思う。
現在の状態(意見交換会)では決定をすることができないため、意見を言って終わりになってしまう。会議で話し合ったことを形にすることが必要。
住民として生徒の声に対応すべき。なにか規約を作っていくのはどうか。
地域と生徒との間で協議・検討機関を今後に残すのはどうか。
今まで町会として動いたことがない。この意見交換会を期に、町会として働きかけをしていくのはどうか。
町会で話し合い、賛同を得られれば協議会を作ることを目的に動いていきたい。


2回の意見交換会の成果と課題

成果

地域の方と生徒のお互いの理解が進んだ。
取り組みを通じ、地域の方からお礼や労いの言葉をかけていただけるようになった。
5地区の町会長さんに、このような意見交換会に賛同を得ることができた。
松本深志高校新聞が地域にも配られるようになった。
地域とのチャンネルができた。
地域・学校・生徒の三者が関わる新しい組織の検討を地域の方から投げかけていただいた。


課題

クレームを寄せる方は学校そのものに疑問を持っているように感じられた。
放送委員会のスピーカー、松本蟻ヶ崎高校の窓の板張りなど、消音対策には防災の面で別の問題が起きてしまう。この点のバランスをとることが必要である。
意見交換会の取り組みの中で、自転車の乗車マナー、加害者としての自転車運転者についてご意見をいただくこともあり、交通マナー問題解決は大きな課題である。
地域から、学校・生徒を含めた新しい組織の検討を投げかけていただいたため、それに応えることが必要だと痛感した


「鼎談深志(ていだんふかし)」設立を知らせるチラシ

平成29年5月27日 松本深志高等学校地域フォーラム「鼎談深志(ていだんふかし)」設立

松本深志高等学校地域フォーラム「鼎談深志」要綱

「鼎談深志」設立までの経過報告書



松本深志高校放送部が制作した、「鼎談深志」設立までの様子をまとめたドキュメンタリービデオ「鼎談深志」が、NHK全国高校放送コンテストで「優勝」を獲得しました。

同じ悩みを持つ皆様の参考となりますよう、主催者のご高配で公開させていただきます。

ドキュメンタリービデオ「鼎談深志」










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